髪の毛の雑学
2017.06.26更新
薄毛に馬の油が効く!?馬油が髪と頭皮にもたらす3つのメリットを徹底解説!
馴染みのない人にとって「馬の油を皮膚に塗る」というのは極めて奇妙なものに見えるでしょう。
しかし、馬の畜産を行なっているような地域では古来から「皮膚の治療には馬油が効く」として馬の油が愛用されてきました。
そんな馬油が最近、薄毛にも効果的だと話題になっています。
実際に馬油を配合したシャンプーなども販売されており、売り上げも好調なようです。
そこで今回は馬油の成分から本当に薄毛に効果があるのかどうかを検証していきたいと思います。
目次
馬油とは?
まず「馬油」とはなにか、という話なんですが、これはもうその名のとおり「馬の脂肪からとった油」のことです。
馬にあまり馴染みがない人は見たことがなくても珍しくない物質ですが、馬の畜産を行なっているような地域では古くから民間療法に使われており、いわゆる「民間薬」としてメジャーな地位を確保しています。
昔から「馬油にはやけどや皮膚のひび割れを改善する効果がある」と言われており、「それなら同じ皮膚である頭皮にもいいことがあるんじゃないか」というような考えで生み出されたのが馬油を配合したシャンプーなんかだったりするわけです。
それでは馬油にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
馬油が頭皮にもたらす3つのメリット
馬油が頭皮にもたらすメリットは大別すると以下の3つになります。
- 保湿効果
- 抗菌・抗炎症作用
- 血行促進
いずれの効果も薄毛対策としては一般的なものですね。
馬油の成分にはどのようなレベルで効果が期待できるのか、ひとつひとつ見ていきましょう。
人間の皮脂に成分が近いので頭皮に浸透しやすく保湿効果が高い
「油で膜を張ると水分が逃げにくくなる」というのは科学的な素養がなくともなんとなく理解ができるのではないかと思います。簡単に言えば油がサランラップの役割を果たすわけですね。
馬油もその名前のとおり当然油なので保湿効果を持っており、頭皮に塗ることで肌の潤いを保ってくれます。
それだけならただの油と同じなのですが、馬油のすごいところは浸透力が異常に高い点です。
例えばサラダ油なんかは肌に付着するとギトギトしてべとついてしまいますが、馬油は肌に塗るとすぐに浸透してさらさらになります。
なぜそんなことが起きるのかと言いますと、それは馬油が人間の皮脂と非常に近い組成になっているためです。
私たちの皮膚は常に皮脂に覆われてガードされているわけですが、分泌量が極端に多くなっているときを除けば「皮脂がべとついて嫌だなあ」なんて気持ちにはなりませんよね。
それと同じで、成分が皮脂と酷似している馬油も皮膚に塗ってあるときの違和感がとても少ないのです。
これによって肌に違和感を抱えることなく、頭皮に十分な潤いを保つことができます。
馬油が皮脂を満たすことによる抗菌・抗炎症作用で抜け毛予防
馬油は人間の皮脂と同じく、皮膚に雑菌が侵入するのを防ぐ抗菌作用を持っています。
これにより、上記の保湿効果と合わせて頭皮が炎症するのを防ぐ効果が得られるのです。
馬油にはまだ医療が科学されていなかった古代からやけど治しとして利用されていたという実績があり、馬油の抗炎症効果がはるか昔から知られていたことがわかります。
抗菌、抗炎症効果はダイレクトに髪の毛を生やす効果ではないものの、抜け毛を予防するためには重要な効果です。
α-リノレン酸による血行促進作用
人間の髪の毛は血液によって運ばれてくる栄養で成長しているため、血行が悪化することはそのまま髪の毛の悪化につながります。
血行が悪くなったら即座にハゲるというわけではありませんが、血行が悪い状態が続いてしまうと髪の毛が細くなる、抜け毛が増えるといった薄毛の症状が出てくる危険性が大きく増してきます。
それを改善してくれるのが馬油に含まれている「α-リノレン酸」です。
α-リノレン酸には血液の循環を良くする作用があり、血行の悪化で髪の毛が細くなったり毛が抜けてしまうのを事前に防ぐ効果があるというわけです。
馬油は薄毛を治すわけじゃない!
さて、ここまで馬油のメリットを紹介してきたわけですが、上記の3つのメリットを見て何かお気付きになった方もいると思います。
そう、馬油は「抜け毛予防」としては役立つものの、既に薄毛になってしまった人を治療する効果はないのです。
そもそも馬油が医薬品として指定されていない時点で何らかの症状を治療する効果がないのは当たり前の話です。
たとえばAGAの人が「馬油で薄毛が治るんだ!」と勘違いしてAGAの治療を一切せずに馬油だけで薄毛対策をした場合、薄毛はみるみる進行して気づけば末期のAGAになってしまうでしょう。
馬油にできるのはあくまで頭皮環境を改善して抜け毛を予防するだけという点には注意が必要です。
まとめ
馬油には頭皮環境を良質に保つはたらきはあるものの、既に薄毛になってしまった人の髪の毛を取り戻すような効果はないことがわかりました。
まだ薄毛になっていない人が抜け毛の予防に使うぶんには良いパフォーマンスを発揮してくれるでしょうが、「薄毛を治したい」という悩みを抱えている人はまず医学的治療に専念するのが先決と言えます。
あるいは「医学的治療を続けつつ頭皮環境を馬油で良くする」といった薬と馬油の併用を行うのがオススメです。