発毛剤
2018.03.03更新
プロペシアの効果と副作用を徹底解説
このページではAGA治療薬「プロペシア」についてまとめました。
目次
プロペシアとは?
プロペシアは1992年4月にアメリカのメルク社によって開発された世界初の男性型脱毛症治療薬です。
もともとは前立腺肥大症という病気の治療薬として開発されたのですが、実験中にAGAの治療にも使えることが発覚したために、濃度を下げたものがAGA治療薬として認可されるようになりました。
プロペシアはその効果の強さから日本では「医療用医薬品」として扱われており、医師の処方箋がなければ買えない薬となっています。
また、日本皮膚科学会という皮膚医療の医師が集まる学会ではAGA治療に使うべき薬として認定されています。
男性型脱毛症にはフィナステリドの内服を行うよう強く勧める.一方,女性型脱毛症には行うべきではない
プロペシアのジェネリック医薬品ってなに?
プロペシアは既に特許が切れており、プロペシアと成分がまったく同じの薬を他の会社も作ってよいことになっています。
こうしてプロペシアよりもあとに作られたプロペシアとまったく同じ薬をジェネリック医薬品(後発医薬品)と呼びます。『ファイザー』や『フィンペシア』などが商品としては有名です。
ジェネリック医薬品は開発にお金をかけていない分だけ薬が安いのが特徴です。
詳しくは「ジェネリック医薬品総まとめ」で解説しているのでこちらの記事を参照してください。
プロペシアの有効成分と効果
プロペシアに配合されている有効成分は「フィナステリド」という成分です。
この成分にはAGAの原因のひとつである「5α-リダクターゼ」のはたらきを阻害する効果があります。
「AGAを徹底解説」の記事でも説明しているように、AGAが起こるメカニズムは次の三段階からなります。
- 5-αリダクターゼが「DHT」という男性ホルモンを作り出す。
- 生まれつき「男性ホルモン受容体」と呼ばれるものが遺伝していると、その受容体がDHTを脱毛を促す因子に変えてしまう。
- 脱毛を促す因子が毛根に働きかけ、毛が十分に成長する前に抜けさせてしまう。
この3段階はドミノ倒しのように連鎖する仕組みになっていて、この中のひとつでも起こらなければ男性型脱毛症は起こらないようになっています。
フィナステリドはこのうちの1番を阻害することによって、続く2番3番も起こらないようにするという成分なのです。
フィナステリドの詳細な効果については「フィナステリドを徹底解説!」で解説しているため、より詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
プロペシアの効果が出るまでの期間は?
国内の臨床試験ではプロペシアを1年間飲み続けたグループでは58%、2年間のグループでは68%、3年間のグループでは78%の被験者に改善効果が確認されています。
ただ、これは逆に言えば1ヶ月や2ヶ月の短期間ではすぐに効果が出ないことを示しています。
根本的に髪の毛自体が1ヶ月で1センチほどしか伸びないものでもあるため、プロペシアでの薄毛治療はある程度腰を据えてやっていくものと言っていいでしょう。
プロペシアの副作用と初期脱毛
効果が強い薬とは切っても切れない関係にあるのが「副作用」です。
望んだ効果だけが出てくる薬などという都合の良い者はこの世に存在せず、それはプロペシアも例外ではありません。
最初の1~2ヶ月は初期脱毛で毛が抜ける
プロペシアを飲み始めると最初の1~2ヶ月あたりは大量に抜け毛が発生します。
これは初期脱毛といってもっと後に抜けるはずだった毛が前倒しで一気に抜けてしまう現象です。
本来は成長が止まった毛は毛穴に刺さったまま自然と抜け落ちるのを待っています。
しかし、プロペシアを使うと新しく毛が作り出されるのが早まるため、新しく作られた毛が古い毛を押し出してしまいます。
そのため、本来は2ヶ月ほどかけて抜けるはずだった毛が一気に抜け落ちてしまうのです。
初期脱毛は副作用と言えば副作用ですが、薬の効果が現れてきた証拠でもあり、必ず収まるものなので気にする必要はありません。
初期脱毛については「初期脱毛が起こる原因とその期間」で解説していますので、より詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
性欲減衰、勃起不全などの「性機能低下」
プロペシアの臨床試験では性欲減衰や勃起不全といった性機能の低下がわずかながら見られました。
48週間の二重盲検比較試験において、安全性評価対象276例中11例(4.0%)に14件の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主な症状はリビドー減退3例(1.1%)、勃起機能不全2例(0.7%)等であった。
これはプロペシアがもともと「前立腺肥大症」という病気の治療薬として開発されたために起こった副作用だと考えられます。
前立腺肥大症は男性ホルモンによって起こる病気なので、治療のためには男性ホルモンを減少させる必要があります。その男性ホルモン減少効果によって性機能が低下してしまうのです。
ただ、データでも出ているように副作用の発現率は合計しても1.8%とかなり低いです。
ほとんど起こらないといってもいいくらいの割合なので、深刻に気にする必要はないでしょう。
肝臓の機能に異常が出る「肝機能障害」
臨床試験時には確認されていませんでしたが、その後の使用試験において2例だけ肝機能障害の副作用が確認されています。
943例中5例(0.5%)に5件の副作用が認められた。主な症状はリビドー減退2例(0.2%)、肝機能障害2例(0.2%)等であった。
肝機能障害が起こってしまう原因はプロペシアの分解が肝臓で行われているためだと考えられています。
肝臓の機能がもともと弱い人などはプロペシアを分解することが肝臓の負担となってしまうのです。
肝機能障害の発症例は0.2%と極めて稀ですが、肝臓が弱い人は使うのを控えるか、医師との相談の上で服用するのが望ましいですね。
プロペシアの注意点
プロペシアを使っていく上で注意しなければいけないのは次の4点です。
- 女性や円形脱毛症の患者は飲んではいけない
- プロペシア服用中は献血をしてはいけない
- プロペシア単体では現状維持程度の効果しかなく、ミノキシジルとの併用が必要になってくる
- 服用を中止すると再び男性型脱毛症が進行する
女性や円形脱毛症の患者はプロペシアを使えない
プロペシアはAGAにしか効果がありません。
先ほど説明したように、AGAの原因を取り除くのがプロペシアの効果ですから、原因が異なる女性の薄毛や円形脱毛症に対しては何の意味もないのです。
特に妊娠している女性、授乳中の女性は絶対にプロペシアを服用しないでください。妊娠中の女性がプロペシアを服用すると、胎児に影響を及ぼすおそれがあります。
プロペシアの服用中は献血ができない
上で説明したように、プロペシアが妊娠中の女性の体内に入ると胎児に悪影響が出てくるおそれがあります。
これはプロペシアを直接飲むだけでなく、プロペシアを服用している男性の血液が妊娠中の女性の体内に入っても危ないため、それを防ぐためです。
なお、献血可能になるのはプロペシアの服用を止めてから1ヶ月後とされています。
これは体内からプロペシアがなくなるのに1ヶ月の期間を要するからです。
プロペシア単体では劇的に髪の毛が増えるわけではない
プロペシアは男性型脱毛症の原因となっている物質を阻害する効果のある薬です。
しかし逆に言えば原因を取り除いているだけなので、髪の毛が見違えるように生えてくるわけではありません。プロペシアには髪の毛を生やす効果はありませんからね。
いくらAGAの原因を阻害し、抜け毛の量を減らしたとしても抜け毛が0本になるわけではないので、プロペシアだけでは現状維持や緩やかな改善レベルに収まってしまうのです。
もしガッツリと改善していきたいなら毛を生やす効果のある薬「ミノキシジル」との併用が必要になってきます。
プロペシアはミノキシジルと併用することで「AGAの原因を抑える」ことと「毛を生やす」ことが両立できるようになるのです。
詳しくは「プロペシアとミノキシジルの併用」で解説していますのでこちらを参考にしてください。
まとめ
プロペシアはAGA専用の治療薬です。
その特性から女性や子供、円形脱毛症など別の症状の患者に使うことはできませんが、AGAの原因を抑える効果を持っているため、AGAの進行を抑えることには大きな効果を発揮します。
副作用の発現率も低く、AGA治療薬としては皮膚科学会にも「行なうべき治療」として認められているほどです。
プロペシアは医療用医薬品であるため、AGAクリニックや皮膚科を受診するのが正しい入手方法ですが、安心・安全を切り捨てて少しでも安く手に入れたいなら個人輸入という方法もあります。