生活習慣 髪の毛の雑学
2017.06.26更新
「食事で薄毛対策」を信じるな!ヨーグルトで薄毛対策の裏にある真実
最近、「ヨーグルトが薄毛に効く」という情報が多く出回っているようです。
ヨーグルトは健康に良い食品ではありそうですが、だからといって育毛までできるというのは本当なのでしょうか?
このページでは、ヨーグルトの持つ効果と育毛との関係について科学的に検証していきます。
目次
男性の遺伝による薄毛はヨーグルトでは治らない
ヨーグルトと薄毛対策の関係について、まず真っ先に言えることがあります。
それは遺伝による男性の薄毛はヨーグルトじゃ絶対に治らないということです。
老化による薄毛や遺伝による薄毛は身体の正常な反応として起こっているものであり、「身体を健康にして薄毛を治そう!」みたいなスタンスでは絶対に止めることができません。老化と遺伝が原因であるものに関して言えば、残念ながら薄毛になっていることこそが正常なのです。
今の日本では身体の正常な反応を無理やり押さえつけられるような強い効果を持った物質は「医薬品」として扱われ、医師の処方がなければ購入できないように規制されます。
しかしヨーグルトはスーパーやコンビニで簡単に買えますよね。これはすなわち「ヨーグルトには人間の身体になんらかの改善(あるいは異常)をもたらすような強い効果がない」という証明でもあるのです。
ですから、たとえヨーグルトにどれだけ素晴らしい効能があっても老化と遺伝の薄毛は治らない。これは絶対の真実なのです。
ヨーグルトで治らない薄毛、男性型脱毛症「AGA」の対策について詳しく知りたい方は「20代から薄毛になってしまう若ハゲ!原因となるAGA(男性型脱毛症・壮年性脱毛症)について徹底解説」で解説していますのでこちらを参考にしてください。
ヨーグルトはなぜ薄毛対策になると言われているの?「IGF-1」ってなに?
ヨーグルトが薄毛に効果的と言われている原因は「IGF-1」という物質にあります。
IGF-1は正式名称を「インスリン様成長因子」と言いまして、私たちの身体を構成している様々な細胞の成長と発達に関わっている物質です。
髪の毛も「毛母細胞」という細胞が細胞分裂していますから、髪の毛の成長はIGF-1の影響を受けているというわけですね。
このIGF-1は乳(母乳や牛乳など)に、特に牛の乳に多く含まれることがわかっています。
ですから、牛の乳から作られた牛乳やヨーグルトなどの乳製品を食べることで体内のIGF-1量を増やして髪の毛の細胞分裂を促せる。これがヨーグルトで薄毛対策ができると言われている理由なのです。
しかし、この理論は本当なのでしょうか?本当にヨーグルトを食べるだけで体内のIGF-1は増えるのでしょうか?
過去にも乳製品でIGF-1が増えるか増えないかという問題が出ていた!
実は、ずいぶん前にも「牛乳や乳製品を摂取すると体内のIGF-1が増加する」という話が話題になったことがありました。
それは今回のような「薄毛が治る」というポジティブなものではありません。「牛乳を飲むとガンのリスクが増してしまう」というものでした。
そしてそのときの根拠もまた、IGF-1でした。
先ほどIGF-1は細胞の成長や発達に関わっていると言いましたが、この「細胞」にはガン細胞も含まれます。
つまりIGF-1は髪の毛を作っている毛母細胞を発達させている裏で、ガン細胞すらも増殖させているということなのです。
これにより「IGF-1を増加させてしまう乳製品は発ガンのリスクを上昇させるよくない食べ物だ!」という説が大きく出回ることになったのです。
この話を聞くと「薄毛対策でヨーグルトを食べたら発ガンリスクも高まるのか?」と不安になってきますよね?
そんなあなたに朗報です。実は既に乳製品で発ガンのリスクが上昇することはないということは科学的に証明済みなのです。
ヨーグルトを食べてもIGF-1は増えず、ガンのリスクもない。つまり育毛効果もない!
内閣府の提供している食品安全総合情報システムによれば、以下の3つの理由から、乳や乳製品によるIGF-1増加のリスクは低いとあります。
- 生乳にはIGF-1が含まれているが、食品として加工を施される際にその含有量を減らしている。
- IGF-1を経口摂取すると消化、吸収される際に分解され、さらに減少していく
- よってヨーグルトを食べて体内のIGF-1量が増加することがあったとしても、その量では人体に与える影響は低い
簡単にまとめると、食品加工された乳製品を食べても人体に影響が出るほどIGF-1は増えないというのが結論となっていますね。
これは「乳製品でIGF-1が増加して、がんのリスクが増すなんてことはない」という安全性を証明しているわけですが、こと薄毛に限って言えば「乳製品を食べても薄毛が治るようなことはない」という証明にもなっています。
当然ながら、「ガンには影響を与えないけど薄毛の改善はできるIGF-1」などという都合のいいものはありません。
ですから、IGF-1が増えるせいで発がんリスクが増すのは誤りであるのと同じようにIGF-1が増えるので育毛ができるというのも誤りというわけなのです。
まとめ
ヨーグルトは栄養豊富な食品ではありますが、食べるだけで育毛効果に期待はできません。
確かに健康的な食生活をしなければ抜け毛になってしまうのは事実ですが、残念ながら特定の食品を食べれば薄毛対策になるなんてことはありません。
食品は薬ではないのです。特定の食品を食べれば治療や対策ができるなどという噂に踊らされないようにしましょう。
もし本当にAGAを治療したい、薄毛を治して髪を生やしたいのであればAGA専門のクリニックで治療を受けることをおすすめします。