髪の毛の雑学
2017.05.18更新
高麗人参が薄毛に効くって本当なの?ニンジンエキスの真実とは
いまや漢方は日本の医療に深く根付いている薬ですが、薄毛治療においても「効果あり!」という噂が広まっています。
それが「高麗人参で薄毛が治る」という説です。
高麗人参は基本的に疲労回復のための薬ですから、薄毛治療の効果なんてものは公式の説明にはないわけですが、果たして高麗人参に薄毛治療効果があるというのは本当なのでしょうか?
このページでは高麗人参が髪の毛にもたらす効果を検証していきます。
目次
高麗人参とは?
高麗人参とは、疲労回復や食欲不振といった症状を回復する効果があると言われている漢方の一種です。
簡単に言えば、植物由来のリポビタンDとかレッドブルみたいなものだと捉えてもらえばOKでしょう。
きちんと国に認められた薬として売られてはいるのですが、発毛薬や薄毛の治療薬として出回ってはいません。認められている効果はあくまで疲労回復です。
市販の育毛剤に含まれるニンジンエキスの材料でもある!
「名前すら知らなかったよ」という人も多そうな高麗人参ですが、実は薄毛界隈にも関わりのある漢方だったりします。
というのも、市販の育毛剤によく配合されている成分に「ニンジンエキス」という成分があるからです。この文字に見覚えがある人も多いのではないでしょうか。
実はこの「ニンジンエキス」、高麗人参から抽出したエキスのことなんです。
私たちの知らないところで高麗人参は薄毛界隈にしっかり根付いていたんですね。
ただ、育毛剤に配合されているニンジンエキスも国に認められた効果は血行改善なので、ニンジンエキスに関しても発毛効果は認められていないというのが現状です。
高麗人参・ニンジンエキスで薄毛は治らない!
先ほどから何度か言っているように、高麗人参・ニンジンエキスに薄毛を治す効果はありません。
これには男性特有の薄毛症状が発生するメカニズムが関係しています。
男性の薄毛はAGAによって引き起こされる
一般的に「ハゲ」とか「薄毛」と言われているような症状は「AGA(男性型脱毛症)」という脱毛症によって引き起こされています。
AGAは遺伝的な原因と男性ホルモンの組み合わせによって、抜け毛を誘発する脱毛因子が作り出されることによって起こります。
簡単にたとえるなら、生まれつき体内に抜け毛を誘発する物質の工場を持っている人がいて、そういった遺伝子を持っている人は健康な状態でも薄毛になってしまうというのがAGAです。
詳しくは「AGA(エージーエー)とは?男性型脱毛症による薄毛・ハゲの原因と治し方!」の記事で解説しているので、興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。
高麗人参にはAGAの原因を阻害する物質が含まれていない
現代の医学ではAGAによる薄毛の進行を止めるには脱毛因子の材料となっている「DHT」という特殊な男性ホルモンが作り出されるのを阻害する以外に方法がありません。
具体的には「プロペシア」や「ザガーロ」といった薬にその成分が含まれていて、薄毛治療の世界で広く使われています。
ここで問題になってくるのは「高麗人参にプロペシアやザガーロと同じ成分が含まれているのか?」ということです。
残念ながら、高麗人参にはAGAの原因となる男性ホルモンを抑える成分が含まれていません。なので、薄毛も止まりません。
身体にいいとか血流がよくなるみたいな部分を抜きにして「薄毛が治るのか、毛が生えるのか」という点だけで語るなら、高麗人参には効果がないのです。
なぜ高麗人参が薄毛治療に使えるということになったのか
なぜ高麗人参が薄毛治療に使えるなどという情報が流れるようになってしまったのか。
それは高麗人参が「ニンジンエキス」として育毛剤に配合されていることが原因なのではないかと思われます。
ニンジンエキスが国に認められている効果は血行改善ですが、そんなことは育毛剤のパッケージでは教えてくれません。
そういう状況で「高麗人参は育毛剤にも配合されている成分!」と言われれば一見とても効果のある薬に思えてしまいますよね。
本来は血行改善の効果しか持たない成分が発毛成分に思えてきてしまうわけです。
しかしながら、実際には飲んだときには疲労回復や食欲不振を治すくらいの効果しかなく、エキスを抽出しても血行改善効果しか見込めません。
確かに高麗人参が身体に良いのは事実でしょう。ですが、「高麗人参が薄毛に効果あり」という説についてはデマだと結論付けるしかなさそうです。