髪の毛の雑学
2018.05.16更新
カツラは古代人も使ってた!?意外と深いカツラの歴史
薄毛男性の心強い味方である「カツラ」。
実は想像以上に長い歴史を持っている由緒正しきアイテムだということはご存知ですか?
今回はそんなカツラの歴史を紐解いていきたいと思います。
目次
最古のカツラは38000年前!?
もっとも古いカツラは38000年前に誕生していたのでは、という説があります。
これは38000年前のものと考えられている女性の像がカツラのようなかぶりものをしているからです。
カツラの現物が出土していないため、実際にカツラかどうかはわからないのですが、もしこれがカツラであればカツラは38000年前には誕生していたことになります。
6000年前の遺跡からもカツラが出土
最古のカツラが38000年前という説はあくまで「像がカツラをつけているように見える」ということから始まった説ですが、実際に古代のカツラが見つかっている遺跡もあります。
それが今から約6000年前、古代メソポタミアの時代に作られた王様のお墓です。
王族の墓には王様の遺体だけでなく宝物もいっしょに埋められることが多いのですが、その宝物に混じって男性用のカツラが発見されているのです。
古代メソポタミアの王が薄毛に悩んでいたのか、それとも単に王の威厳を知らしめるための冠として使われていたのかはわかりません。
しかし、少なくとも6000年前から男性がカツラを被る文化があったということは事実のようです。
中世ヨーロッパでおしゃれカツラが大流行!
カツラの存在自体は昔から確認されていましたが、爆発的な流行を見せたのはおそらく12世紀~13世紀ごろのヨーロッパが最初でしょう。
当時は王族や貴族を中心に、男女問わずファッションとしてカツラをつけるのが大流行していました。
薄毛を隠す目的も多少はあったと思われますが、それ以上におしゃれを目的としてカツラを着用していたのです。
特に社交界のような華々しい場では「カツラをかぶらないのはマナーがなっていない」とすら考えられていたほどでした。
よく音楽室に飾ってある作曲家の肖像画や、歴史の教科書に載っているフランス国王の肖像画なんかは奇抜な髪型をしていることが多いですよね。
アレもカツラでおしゃれをしているからなんです。
着飾る目的で作られたカツラはさまざまデザインが求められることとなり、カツラを作る専門の職人やデザイナーも多く誕生しました。
こうして中世のヨーロッパで大流行したカツラは海を渡り、海外にも伝わっていくことになります。
日本のカツラの歴史は?
日本におけるカツラの歴史はそれほど長いものではありません。
髪飾りをつける文化は古来からあったようですが、髪の毛を使ったカツラとなると江戸時代あたりから流行が始まったようです。
具体的には遊女(現代で言うところの風俗嬢)がファッションとして取り入れていました。
一方で男性向けのカツラはほとんどなかったようです。
侍がちょんまげを結っていたように、そもそも自ら髪の毛を剃り上げる文化でしたからね。
薄毛を隠すという発想自体があまりなかったのでしょう。
男性向けのカツラが日本に現れたのは大正時代の末期から昭和の初期あたりと、かなりあとの方になってきます。
明治維新以降、海外の文化が数多く流入するようになってきていた中で、海外で開発されたカツラが流入してきたのが日本における男性向けカツラの始まりと言われています。
1970年代から「ハゲを隠したい」という需要が増加した
日本でカツラが大きく販売数を伸ばしたきっかけは1972年以降だと考えることができます。
これはなぜかというと、現代でも大手のカツラメーカーとして営業を続けているアデランスが1972年に男性用カツラのテレビCMを打ち始めたからです。
実は当時、男性が薄毛を隠すためのカツラは大っぴらに宣伝をするようなものではないという風潮がありました。
雑誌の後ろの方にひっそりと広告が載っていたり、ほとんど視聴者がいない夜中のテレビ番組だけで宣伝をして、薄毛男性がこっそりと購入する。
カツラはそういった日陰商売で取り扱われるアイテムだったのです。
しかしアデランスはそういった中であえてゴールデンタイムにカツラのCMを流しました。
このCMの効果は絶大で、多くの薄毛男性が「薄毛はカツラで隠すもの」と認識するようになり、アデランスは一躍カツラ業界の大手になりました。
こうして日本に薄毛隠し用のカツラが多く出回るようになったのです。
2018年のカツラ事情
2018年現在、薄毛男性のカツラ需要は昔に比べるとそれほど強くないのが現状です。
実際にアデランスは業績の低迷が長引いていることからもカツラ人気がなくなってきているのは間違いありません。
その原因として考えられるものはいくつかありますが、やはり大きな理由としては薄毛が医学で治療可能になったことが挙げられるでしょう。
昔はカツラで隠す以外の薄毛対策はありませんでした。
しかし、現代では薄毛治療の病院に行って薬を飲めば自分の毛が再び生えてくるのです。
カツラで隠すか自分の毛を生やすか、という選択を迫られたときに後者を選ぶ人が増えてきたことがカツラ人気が低迷してきた原因のひとつでしょう。
カツラは歴史あるファッションのひとつ!
カツラの歴史を紐解いてみると、意外にも長い歴史があることがわかったかと思います。
少なくとも6000年前から使われていたというのですから驚きですよね。
普段なにげなく身につけていたものでも、長い歴史があったのだと知るとなんだかちょっと感動的な気持ちにもなってきますね!