髪の毛の雑学
2017.06.17更新
テストステロンが薄毛にする?ジヒドロテストステロン(DHT)を抑制するのは?
目次
テストステロンが薄毛の原因って本当?
残念ながら「テストステロンが薄毛の原因か」という質問は簡単にYESかNOで答えられるような質問ではありません。
あえて言うのであれば「テストステロンは薄毛に関わっているが、テストステロン自体に毛を薄くする効果はない」というのが答えになるでしょうか。
そもそもテストステロンはいわゆる男性ホルモンで、男性が男性らしくあるために必要な物質です。
たとえば筋肉を増強して体つきを男らしくしたり、毛を太く濃くする効果によって体毛を濃くしたりします。
体毛を濃くする効果があることからもわかるように、テストステロンは薄毛の原因どころか毛に欠かせない物質とすら言えるわけです。
しかしながら、テストステロンが薄毛とまったくの無関係というと、そういうわけでもないのです。
なぜなら、薄毛の原因となっている物質のもとを辿っていくとテストステロンに行き着くからです。
薄毛の原因となっているDHT(ジヒドロテストステロン)!
男性特有の脱毛症に『AGA(男性型脱毛症)』という脱毛症があります。
AGAは『男性ホルモン受容体』という男性ホルモンの受け皿のような物質が『DHT(ジヒドロテストステロン)』という男性ホルモンが結合することによって、抜け毛を促す「脱毛因子」を作り出してしまうという脱毛症です。
詳しくは「AGA(エージーエー)とは?男性型脱毛症による薄毛・ハゲの原因と治し方!」で解説しているのでこちらの記事を参考にしてください。
ここで重要なのは「男性ホルモン受容体+DHT=脱毛因子」という方程式が薄毛男性の体内で成立しているということです。
つまり、薄毛の原因となっている物質は脱毛因子で、その脱毛因子を作り出しているのは男性ホルモン受容体とDHTのふたつだからテストステロンは原因ではない、と言えそうですよね。
しかしここでひとつ問題があります。
さらにもとを辿って行くと、薄毛の原因となっているDHTはテストステロンを材料として作られているのです。
薄毛の原因物質を作り出しているDHTがテストステロンを材料に作られているなら、そういう意味ではテストステロンも薄毛の原因と言えるでしょう。
薄毛の人と薄毛にならない人の違いは「遺伝」!
ただ、ひとつ断言できることがあります。
それは、テストステロンそのものには薄毛を引き起こす効果はないということです。
もしテストステロンだけで薄毛が起こるのであれば、テストステロンを分泌している世の中の男性はみんな薄毛になっていないとおかしいですからね。
薄毛の男性を薄毛たらしめている理由は男性ホルモンではなく、むしろ『遺伝』にあります。
薄毛の人はある特殊な遺伝子を持っていて、男性ホルモン受容体が脱毛因子を作り出しやすくなっているのです。
「薄毛の原因はテストステロンか」という質問は、どこまでも原因を辿って行くとYESになります。
しかし、「薄毛の人と薄毛にならない人は何が違うのか」と言われればその答えは「テストステロンの多さ」ではなく「男性ホルモン受容体のはたらきやすさを遺伝しているかどうか」となるでしょう。
薄毛対策=テストステロン対策じゃない?
今まで説明してきたように、男性特有の薄毛であるAGAはDHTという男性ホルモンを原因としており、そのDHTはテストステロンから作られています。
よって、理論上はテストステロンがゼロになればDHTも作られないので薄毛にはならなくなります。
テストステロンは主に睾丸で作られているのですが、実際に睾丸を切除した男性はそれ以降、薄毛の進行が止まったという研究結果もあるそうです。
しかし、じゃあテストステロンを減らせばいいのかというとそれは違います。
先ほども少し説明しましたが、テストステロンには毛を濃くする効果を含めて身体を男らしくする効果があります。
性欲や女性に対する興味などもテストステロンが司っていて、文字どおり「男らしさ」のためには必要な物質なのです。
そんなテストステロンを減らしてしまったら、身体的にも肉体的にも健康被害が出てしまいます。
テストステロンはDHTの材料である以前に、男性として、生き物として必要不可欠な物質なので減らすことができないのです。
ではどこで薄毛対策をするのか。テストステロンの次の段階を対策すればいいのです。
薄毛対策はDHTを作らせないこと!
すでに説明したように、DHTの原料となっていることさえ除けばテストステロンは悪さをしていません。
それどころか男性として欠かせない物質ですらあるわけですから、テストステロンを減らしてしまうのはよくないのです。
というわけで、現代医学の薄毛対策は「DHTを作らせない」という方向性で行われています。
もしかしたら「男性ホルモン受容体の方を対策できないのか?」と思うかもしれませんが、残念ながら現時点では医学的に生まれ持った遺伝子を操作することはできないため、男性ホルモン受容体の方を対策することができないのです。
将来的には遺伝子治療ができるようになるかもしれないが、今は無理なんですね。
DHTを減らすにはどうすればいい?
DHTは体内にある『5α-リダクターゼ』という酵素のはたらきによって作られています。
なので、この5α-リダクターゼのはたらきを阻害できればDHTを減らし、脱毛因子が作られなくできるのです。
しかし、ここでひとつ残念なお知らせがあります。
5α-リダクターゼがDHTを作り出すのは身体的な異常ではないのでセルフでの対策は今のところ不可能だということです。
DHTが作られてしまうのが栄養失調や睡眠不足、血行の悪化のように不健康が原因となっているのであれば対策は簡単です。
たとえば食事に気を使ったり、頭皮マッサージをしたり、シャンプーを変えたり、ヘアケアグッズを使えばそれで対策になりますからね。
しかし、DHTが作られるのは5α-リダクターゼという人体のシステムが正常にはたらいた結果なので、個人レベルでできる「健康になるための対策」では効果がないのです。
ただ、何の手立てもないというわけではありません。
実は、今の医学では5α-リダクターゼのはたらきを抑えてDHTを作らせないようにする薬が開発されています。
それが『フィナステリド』と『デュタステリド』です。
このふたつの成分は人間の身体にはたらきかけてDHTを作らせないようにする効果があります。
DHTがなければ男性ホルモンは脱毛因子を作れませんから、この薬によってAGAが治るということなのです。
ちなみにこれらの薬は一般販売されておらず、薄毛治療を行なっている病院でしかもらうことができません。
もし薄毛を治したいと考えているのであれば薄毛治療のクリニックに行きましょう。
テストステロンも原因ではあるが、対策するならDHT(ジヒドロテストステロン)!
AGAのメカニズムから言えば、薄毛の原因のひとつがテストステロンにあることは間違いないでしょう。
しかし、テストステロンだけが薄毛を引き起こしている悪者なのかと言われたらそれは違うと断言できます。
少なくとも、薄毛を治すために対策をするのならテストステロンではなくDHTの方を対策すべきです。
残念ながら今の医学では個人的な対策でDHTを減らすことはできませんが、AGA専門の病院で処方してもらえる薬でDHTが作られるのを抑えることができます。
薄毛対策をしたいならクリニックでDHTの生成を抑える薬をもらって治療しましょう。