髪の毛の雑学
2017.07.11更新
あなたの髪を売る方法、教えます。意外と価値が高い髪の毛の値段と髪を売るための条件
世の中にはさまざまな副業がありますが、そんな中に「髪の毛を売る」という選択肢があるのをご存知でしょうか?
そう。売れるんですよ、髪の毛って。
髪の毛を売ると言えば、芥川龍之介の『羅生門』で老婆が死体から髪の毛を切り取って売ろうとしていた描写が有名ですが、現代日本でも髪の毛に商品価値ってあるんですよね。
とはいえ、街中にある髪の毛の買い取りは適当にふらっとお店に立ち寄って気軽に売って帰ってこれるようなメジャーなものではありません。
髪の毛を売ることに興味を持っているあなたも売る方法、条件、値段などさまざまなことに疑問を抱いていることでしょう。
そこで今回は髪の毛を売るための条件や方法、そして気になる値段などを徹底的に解説していきたいと思います。
目次
1分で知りたい人のためにざっくり言うと
ウィッグを作っている業者など大量の人毛を必要としている人たちがいて、そういった企業のために人毛を販売している業者があります。
その人毛販売業者が私たちの髪の毛を買い取ってくれるというわけです。
髪の毛は長ければ長いほど高く、1m以上まで伸ばせれば100gで1万円以上の値がつくことも珍しくありません。
髪の毛って需要あるの?
そもそもなんで髪の毛なんてものが売れるのか、欲しがる人はどこにいるのか。
普段、美容院に行って髪を切り、部屋に落ちた髪の毛を掃除機で吸い取って捨てている私たちからすると考えられないかもしれませんが、世の中には髪の毛を欲している人というのが結構な数いるんですね。
例えば人毛のウィッグやエクステを作っている専門業者などは髪の毛がいくらあっても足りませんから、定期的に仕入れる必要があります。
また、エクステ程度であれば自作ができるということで素材となる髪の毛を個人的に買うという人も一定数いますし、ちょっと変わったところだと人形やフィギュアの髪の毛に利用するなんて場合もあります。
しかも人間の髪の毛って動物と違って家畜から取ることができないじゃないですか。当たり前ですが人間牧場なんて存在しませんから、「提供しますよ」と言ってくれるドナーを見つけるか、買うしかないわけです。
そんなわけで、実は人間の髪の毛って需要があるし売り物として成立しているのです。
髪の毛ってどうやって売るの?
さて、実際に売れるとわかったら次に気になるのが「売り方」ですよね。
本やゲームのように中古販売が一般化しているものではないので、街を歩いてればその辺に「髪の毛買います」なんて看板が立ってるわけはありません。
ではどうやって売るのかと言いますと、業者に買取依頼を出すか、あるいはネットオークションで売るというふたつのパターンがあります。それぞれ見ていきましょう。
髪の毛を買い取ってくれる業者に売る
髪の毛を買い取ってくれる業者は多くはないですが、「人毛買い取り」とか「髪の毛買い取り」などと検索すると見つけることができます。
例えば現在このワードで一番上に表示されるのが『人毛・髪の毛 買取・全国販売・通販 tamtam』さんです。
一般的に髪の毛の買い取りは郵送での買い取りを受け付けているため、住んでる場所を問わず売ることができますが、ネットから買取の申込みをしたり写真撮影による仮査定があったりと、ダイレクトに送りつけて即現金化できるようなものではないという点には注意が必要ですね。
必要な手順は各業者によって異なるため、売りたいサイトの注意事項を熟読してから申し込みましょう。
一例として、上で紹介したtamtamさんの場合だと、
- ネットで買い取りの申し込み(指名年齢住所などの基本情報と髪質についての軽い質問)を行う
- 髪の毛を切る前の自分の写真(髪の毛がすべて映り込むような背面写真)を撮影する
- 美容院に行くか、自分で髪の毛を切る(美容院で行う場合は事前に伝えておかないと捨てられてしまうので注意)
- 髪の毛の長さや重さがわかる写真と、散髪前に撮影した写真との比較用に散髪後の背面写真を撮影し、②の写真と共にメールで送って仮査定してもらう
- 査定額に問題がなく、売っても良いと思えたらラップとジップロックで梱包して発送する
- 数日後に入金される
髪の毛の値段
髪の毛の値段は買い取りを行っている業者によって異なりますが、長ければ長いほど高く、短ければ短いほど安いという点はあらゆる場所で一貫しています。
先ほど紹介したtamtamさんを例に挙げると1m以上の髪の毛100gで7000円以上、51~60cmの髪の毛100gなら2800円から3600円とダイレクトに長さが値段に反映されます。
20cm未満ともなると100gで300円となってしまい、ここまで来ると売る手間と手数料の方が高く付いてしまうレベルです。
どのあたりまでが納得できる金額になってくるかは個人で変わってくるでしょうが、基本的に「売るために長く伸ばす」くらいの心構えでやっていかないと高値で売ることはできないということですね。
ちなみに「髪の毛を早く伸ばす方法って存在するの?髪が伸びる仕組みと1ヶ月に伸びる長さの限界をわかりやすく解説」でも解説しているように、人間の髪の毛は1ヶ月に1cmペースで伸びていきますから、今から1m以上の髪の毛を売るためには100ヶ月かかる計算になります。
8年以上かけて1万円弱しか手に入らないわけですから、お金稼ぎとしては非常にコストパフォーマンスが悪いです。あくまで「長く伸びた髪が売れる」くらいに考えておくべきですね。
業者に髪を売るための条件をチェック
髪の毛の買い取りを行っている業者も無条件にあらゆる髪の毛を買い取っているわけではありません。
慈善事業ではありませんから、「売り物にならない髪」は買い取ってもらえないのです。
自分の髪を売ることができるのかどうかのチェックとして、以下の点はしっかりと確認しておきましょう。
年齢制限
年齢制限というと一般的には「未成年は不可」というものを想像しますが、髪の毛買い取りの場合は真逆で「若い人の髪の毛しか買い取りませんよ」というスタンスでやっています。
未成年は親の同意書が必要になりますが、買い取り自体は可能です。むしろ若い人の髪の毛のほうがより好まれるくらいでしょう。
髪の毛は年齢を重ねるごとに劣化していきます。
悲しい話ですが、40歳の髪は20歳の髪に比べると明確に品質が劣るのです。
例えばtamtamさんの場合は31歳未満の人の髪の毛しか買い取らないということになっています。
髪の毛を売る際には年齢的に「自分の髪が買い取ってもらえるのか」を確認するところから始めるべきですね。
髪の毛の状態
髪の毛の状態としてもっとも良いとされているのがカラーリングやパーマを一切行っていない黒髪、いわゆる「ヴァージンヘア」の状態となります。
髪の毛の世界では黒髪が人気らしく、ヴァージンヘアでも地毛が茶色っぽい人よりも真っ黒の人の方が高値がつく傾向にあります。
ヴァージンヘアに比べるとカラーやパーマを行っている髪の毛は値段が落ちますし、場合によっては買い取りを断られるケースもあります。
更に断髪してからの期間も重要で、だいたい切ってから1ヶ月以内の髪の毛でなければなりません。
これは一度切った髪の毛は頭皮から栄養や水分を受け取ることができず、切った瞬間から品質が劣化していくためです。
これは地面に生えている植物よりも花屋で買った花束の方が枯れやすいのと同じ理屈と考えるとわかりやすいかもしれません。
まとめると、「傷みがなく新鮮な髪の毛」が買取対象だということですね。
髪の毛の長さ
先程も触れましたが、髪の毛の価格は毛の長さが長ければ長いほど高く、短ければ短いほど安くなります。
これはウィッグの材料にならない短い髪の毛には需要が無いからです。
「短い毛でもショートヘアのウィッグなら作れるんじゃない?」と思われるかもしれませんが、ショートヘアのウィッグを作る際もロングヘアのウィッグを作ってからカットするという方式で作るため、短い毛をウィッグにすることはありません。
人毛からウィッグを作るには最低でも30~40cmの長さが必要で、そのためか髪の毛の買い取りが40cmからとなっている業者もあります。
私の知る中でもっとも短い毛の買い取りを行っているところでも最低ラインは10cm以上が目安となっており、男性にとっては十分長めな長さがスタートラインとなってしまっています。
男性が髪を売るのはルール上は問題なく可能ですが、高く売れる長さまで髪を伸ばし続けるという難しさから、実質的には女性限定だと言っても良いですね。
ネットオークションで売るというもうひとつの手段
ここまでは業者に売る方法を解説してきましたが、もうひとつ「ネットオークションで売る」という手もあります。
ウソのようなハナシですが、実際に適当なオークションサイトで「髪の毛 人毛」とか検索すると、意外と髪の毛が出品されていることが確認できると思います。
「規定の長さまで伸びていないけど売りたい」とか「規定の重さ以下で売りたい」、「より高い値段で売りたい」という場合は業者に売るよりもネットオークションで販売するほうが優れていることがありますからね。
ただし、ネットオークションで髪の毛を売る際には必ず売れるという保証がないという点には注意が必要です。
ネットオークションであれば業者が買い取ってくれないような状態の毛も売ることができますが、根本的に需要がないから業者も買い取っていないのであって、ネットオークションに出しても売れる可能性は低いです。
まとめ
髪の毛を売ることは割と簡単に行うことができますが、その実態は「若い人の長い髪なら売れる」というものでした。
誰でも気軽に売れるというわけではありませんでしたが、髪の毛をばっさり切ろうと思っているロングヘアの女性はただ切るのではなく販売するという選択肢もあることを頭の片隅にでも置いておくといいかもしれませんね。
また、髪の買い取りと似たようなものに「ヘアドネーション」というものがあります。
こちらは小児がん患者の子どもたちが使う医療用ウィッグの材料として髪の毛を寄付するボランティアとなっています。
買い取るわけではないので金銭が発生するわけではありませんが、人助けになるようなことがしたいという場合はこういった選択肢もあります。