AGA(エージーエー) 発毛剤 薄毛治療
2017.11.24更新
AGAは飲み薬で治る?治療薬の効果・副作用・価格を解説
目次
AGAには飲み薬がある!
男性特有の薄毛「AGA(男性型脱毛症)は遺伝と男性ホルモンによって起こる脱毛症です。
AGAは健康状態とは関係がないふたつの物質が原因となっているため、放っておいても自然治癒しない薄毛なのですが、まったく対処の方法がない薄毛というわけでもありません。
実は医学的に薄毛の対策となる飲み薬が開発されていて、それを使うことで改善していくことができるのです。
AGAの飲み薬には「薄毛の進行を止めるもの」と「毛を生やすもの」の2種類があります。
そこで、このページではその両方について徹底的に解説していきたいと思います。
AGAの飲み薬はどれくらいの種類がある?
AGAの飲み薬は大きく分けると以下の3種類になります。
- プロペシア(フィナステリド)
- ザガーロ(デュタステリド)
- ミノキシジル
プロペシアとザガーロが薄毛の進行を止めるもの、ミノキシジルが毛を生やすものとなっています。
それぞれに異なった効果と副作用がありますのでしっかりと確認していきましょう。
プロペシア(フィナステリド錠)
フィナステリドという成分を配合したAGAの治療薬がプロペシアです。
ほかにはファイザーやサワイ、フィンペシアといった名前でも知られています。
プロペシアは2005年に販売された薬で、今では特許が切れていて多くのジェネリック医薬品が販売されています。
名前がたくさんあるのもいろいろな会社がプロペシアのジェネリック医薬品を作っているためです。
プロペシアについて重点的に知りたいという方は「プロペシアの効果と副作用を徹底解説」の記事も参考にしてください。
プロペシアの効果
プロペシアは、一言で言えば薄毛を止める薬です。「5αリダクターゼ」という酵素の働きを阻害し、AGAの原因となっている「DHT」という男性ホルモンの生成を抑える効果があります。
AGAによる薄毛・抜け毛が発生するためにはDHTが必要不可欠です。DHTがなくなれば、AGAによる抜け毛・薄毛も起こらなくなり、結果として薄毛の進行が止まるというわけです。
プロペシアの副作用
プロペシアには臨床試験時で4.0%、追加調査時で0.5%という発現率の副作用があり、主な症状として性機能の低下と肝機能障害のふたつが存在します。
それぞれどういった副作用なのか見ていきましょう。
性機能の低下
プロペシアの臨床試験時には性欲減衰や勃起不全といった性機能の低下の副作用が確認されました。
48週間の二重盲検比較試験において、安全性評価対象276例中11例(4.0%)に14件の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主な症状はリビドー減退3例(1.1%)、勃起機能不全2例(0.7%)等であった。
これはプロペシアが男性ホルモンの分泌を阻害したことで、通常よりも男性ホルモンが少なくなったことが原因と考えられます。
このせいか「プロペシアを飲むと高い確率でEDになる」という噂が広まっているようなのですが、実際に勃起不全(ED)の副作用が出た人は0.7%しか存在していません。
また、臨床試験後に行われた追加調査ではそもそも勃起不全の副作用そのものが確認されていません。
943例中5例(0.5%)に5件の副作用が認められた。主な症状はリビドー減退2例(0.2%)、肝機能障害2例(0.2%)等であった。
臨床試験時に勃起不全の副作用が確認されたことは事実なので、リスクとして受け止めるべきなのは間違いないのですが、あたかも確実にEDになるかのような脅し文句は信用しないようにしましょう。
肝機能障害
プロペシアの追加調査では、被験者943人中2名が肝臓に異常の出てくる「肝機能障害」の副作用が出てきました。
943例中5例(0.5%)に5件の副作用が認められた。主な症状はリビドー減退2例(0.2%)、肝機能障害2例(0.2%)等であった。
肝臓に副作用が出てきてしまう理由は、プロペシアの分解が肝臓で行われるためと考えられます。
プロペシアと飲むとまず肝臓で成分が分解され、それから血液に乗って身体へ送られるのですが、このときに肝臓への負担が強く出てしまうことがあるのです。
その結果、肝臓に悪影響が出てくる肝機能障害が起こってしまうというのは十分に考えられる話です。
この結果を受けて、医療機関でプロペシアが処方されるときは「もともと肝臓が弱い人には慎重に処方する」ことになっています。
もし肝臓の病気で入院経験があるなど肝臓の弱さを自覚している場合はきちんと医師に伝えておきましょう。
プロペシアの飲み合わせ
プロペシアと一緒に飲んではいけない薬はザガーロやアボルブといったデュタステリド系の薬です。
デュタステリドの薬はプロペシアと同じ「DHTを抑制する」という効果を持っています。
じゃあ同時に飲んだら効果倍増じゃんと思うかもしれませんが、これらの薬を同時に飲むと過剰摂取になってしまい、副作用が出てくる可能性があるのです。
いたずらに副作用の危険性を増やさないためにもデュタステリド系の薬とは併用しないようにしましょう。
食べ物・飲み物については基本的に何と一緒に摂取しても大丈夫ですが、アルコールとの同時摂取だけは控えるようにしてください。
これは、アルコールの分解にも肝臓が酷使されるため、同じく肝臓で分解されているプロペシアにも影響が出てくる恐れがあるためです。
体内にアルコールが残っていてもダメなので、飲酒前と飲酒直後はプロペシアを飲むのを控えるようにしましょう。ザガーロ(デュタステリドカプセル)
デュタステリドという成分を配合したAGAの飲み薬が『ザガーロ』です。
もともとは『アボルブ』という名前で前立腺肥大症という病気の治療薬として使われていたのですが、デュタステリドにAGA治療の効果があることが判明したために薄毛の治療薬としても使われるようになったという経緯があります。
2015年に認可された比較的新しい薬なので特許が切れておらず、ジェネリック医薬品は開発・販売されていません。
しかし、いま説明したように別の病気で使われていた薬があるため、それがほぼジェネリック医薬品のように機能しています。
なので、デュタステリドでの治療の際は「ザガーロかアボルブのどちらかを選択」となることが多いです。
それではザガーロにどういった効果・副作用があるのか見ていきましょう。
ザガーロの効果
ザガーロの効果はプロペシアと同じく「5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑える」というものです。
薄毛の進行を止める薬という点ではプロペシアと同じなのですが、ひとつだけ異なる点があります。
それはプロペシアよりもザガーロの方が阻害できるリダクターゼの種類が多く、効果が強いとされている点です。
実は5α-リダクターゼには2種類ありまして、プロペシアはそのうちの1種類しか阻害できないんですね。
それでもほとんどのAGAの進行を止めるには十分な効果があるのですが、時折それでは効果が足りない人もいます。
ザガーロであれば2種類ある5α-リダクターゼの両方を阻害できるため、プロペシアでは効果が足りない人でも薄毛治療ができるのです。
ザガーロの副作用
プロペシアよりも強い効果を持っているのがザガーロの特徴なのですが、そのせいで副作用も強く出てしまう傾向があり、発現率は臨床試験時で16.7%を記録しています。
1%未満で「乳房の異常」が起こったり、未確認ではあるものの「肝機能障害」が理論上起こるとされているなどがあるのですが、そのほとんどは「男性機能の低下」です。
具体的にどれくらいの発現率でどういった効果が出てくるのか見ていきましょう。
男性機能の低下
ザガーロの臨床試験では16.7%の被験者に副作用が出たのですが、その6割近くが勃起不全を主とした男性機能の低下でした。
国内の試験では 国内長期投与試験において、本剤が投与された総症例120例中20例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、勃起不全13例(10.8%)、リビドー減退10例(8.3%)、射精障害5例(4.2%)であった(承認時)。
ザガーロの副作用はほぼ「男性機能の低下」に集約されると言っていいでしょう。
これはおそらく2種類ある5α-リダクターゼを両方とも阻害してしまっていることが原因ではないかと考えられます。
プロペシアの場合は5α-リダクターゼが片方活動できるので男性ホルモンの分泌もある程度は残るのですが、ザガーロだと両方とも阻害してしまうので男性ホルモンが足りなくなってしまうのです。
乳房異常
ザガーロの特徴的な副作用として知られているのが「胸が膨らむ(乳房の女性化)」という副作用です。
ザガーロの危険性を喧伝しているサイトではことさらに取り上げられることが多い副作用ですが、実際のところは発現率1%で乳房の痛みや違和感といった「乳房障害」が起こり、その中の症状のひとつとして女性化があるというだけの話です。
生殖系及び乳房障害
1%未満
乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)
もちろん副作用として確認されているのは事実なので「絶対にならない」とは言えないのですが、メインの副作用でないといった感じでしょうか。
肝機能障害
国内の試験結果では確認されていないのですが、ザガーロの分解も肝臓で行われることから肝機能障害の副作用が心配されています。
実際、海外の試験結果では確認されているようで、日本でも肝臓が弱い人に対してのザガーロの処方は慎重に行うようにと定められています。
ザガーロの飲み合わせ
薬との飲み合わせ
ザガーロは「CYP3A4阻害作用を有する薬剤との併用はデュタステリドの代謝が阻害される可能性がある厳禁」と定められています。
「CYP3A4阻害作用を有する薬剤」は簡単に言えば、HIVやC型肝炎の薬のことです。
具体的には、
- イトラコナゾール
- クラリスロマイシン
- エリスロマイシン
- シメチジン
- ベラパミル
- リトナビル
という成分を含む薬との併用がNGとなっています。
成分だけ見てもわからないかもしれないですが、とりあえずはHIV・C型肝炎を治療していなければ薬は大丈夫と考えるのが簡単です。
といっても最終的には医師に判断してもらうのが確実ですので、これらはあくまで知識として持っておくにとどめ、実際になんらかの薬と併用するときは担当医に相談しましょう。
飲食物との飲み合わせ
飲酒直前・飲酒直後の服用は厳禁です。
これはアルコールの分解とザガーロの分解を同時に肝臓が行なうことで肝臓に大きな負担がかかり、健康被害が起こってしまうおそれがあるためです。
アルコールのが体内からなくなるまでの時間は飲んだ量にもよるので一概には言えませんが、だいたい飲酒してから7〜8時間はおいてからザガーロを飲むようにしてください。
ミノキシジル錠剤(ミノタブ)
ミノキシジルは『リアップ』シリーズなどの「塗り薬」として知られていますが、実は飲み薬としても使うことができます。
塗り薬と区別するために、一般的に飲み薬の方は「ミノキシジルタブレット」や「ミノタブ」などと呼ばれます。
ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬として開発されたのですが、試験中に出てきた毛が生えるの副作用が出てきたため、それを逆用して発毛剤として使われるようになったという歴史があります。
なお、飲み薬としてのミノキシジルはまだ日本では未認可です。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルには毛母細胞にはたらきかけて毛を生やす効果があります。
飲み薬のミノキシジルは日本未認可ですが、塗り薬の方が認可されており、この発毛効果については医学的に「毛が生える」と実証されています。
AGAの原因を直接阻害しているわけではなく、あくまでただ単に毛を生やしているだけなのが特徴です。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルの飲み薬は日本で未認可なので具体的なデータはありません。
なので、ここでは理論上起こりうる副作用を解説していきたいと思います。
多毛症(体毛が濃くなる)
ミノキシジルの「毛が生える」という効果は髪の毛だけでなくあらゆる毛に対して有効です。
そのため、飲むことで身体全体にミノキシジルが行き渡ると、身体全体に毛が生えてきたり、毛が濃くなったりします。
髪の毛が生えるのとまったく同じ理由で腕の毛や足の毛も生えてきてしまうわけです。
これは発毛効果によって起こっていることなので、ある意味で「確実に起こる副作用」と言えます。
もしこの副作用が出ていないなら、それは髪の毛を生やす効果も出ていないということになりますからね。
低血圧化による頭痛やめまい
ミノキシジルはもともと高血圧の人が血圧を下げるための薬として開発されました。
なので、血圧が下がる効果が最初から備わっています。
発毛治療目的で使うミノキシジルは濃度が下げられているので確実に血圧が下がるわけではないのですが、この血圧を下げる効果が強く出てしまうと頭痛やめまいといった症状が出てくることがあります。
ミノキシジルの飲み合わせ
ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬だったので、効果の重複を避けるためにも高血圧の薬との併用は控えるべきです。
飲食物についてはほかの薬と同じくアルコールとの併用がNGなので、アルコールが抜けてから飲むようにしてください。
AGA飲み薬の購入方法・価格
AGAの治療薬の価格や購入方法はそれぞれ異なるため、わかりやすく表にまとめました。
全体的には「市販品がなく、病院で処方してもらうしかない」ということと「クリニックごとに価格の差がある」というのが特徴です。
詳しい価格を知りたい場合はクリニックのホームページを見るか、無料カウンセリングで直接聞いてみるのが確実です。
プロペシア | ザガーロ | ミノキシジル | |
価格(1ヶ月分) | 7000円前後 | 10000円前後 | 3000円〜10000円 |
購入方法 | 皮膚科orAGAクリニック | 皮膚科orAGAクリニック | AGAクリニックのみ |
市販品の有無 | なし | なし | なし |
AGAの飲み薬治療でよくある疑問
AGAの飲み薬治療でよく出てくる質問をまとめました。
AGAは飲み薬だけで治る?
毛を生やす・薄毛の進行を止めることで改善していくことはできます。
ですが、それはあくまで薄毛の進行を薬で止めているだけなので、薬を飲むのをやめると再び薄毛が進行してしまいます。
つまり、いわゆる「完治」はしないので、そういう意味では治らないと言っていいかもしれません。
医学的には治るというよりは「改善する」という表現が正しいでしょう。
ちなみにAGAの薬を飲み続けると効かなくなるという噂もありますが、実際にはそういったことは考えられません。
それどころか、治療の終盤には薬の効果が出過ぎないようにわざわざ濃度を下げていくくらいです。
飲み薬でのAGA治療はどれくらいの期間になる?
これは症状の進行度合いにもよるのでなんとも言えませんが、少なくとも1〜2ヶ月で終わるものではないのは確かです。
だいたい薬の効果が出てくるまでに半年ほどかかるとされていて、そこから満足できる毛の長さになるまでを含めて1年というのが多くのクリニックの治療プランとなっています。
薄毛の進行が進んでいる場合は治療期間が2年、3年と長くなってしまうことも珍しくありません。
また、先ほど説明したようにAGAは完治しないため、最低でも薄毛を止める薬はずっと飲み続けなければならないため、飲み薬での治療はずっと続くとも言えるでしょう。
飲み薬以外でAGAを治せないの?
単に毛を生やす方法であれば自毛植毛などの方法があるのですが、AGAによる薄毛の進行を止めるには現状だと投薬治療以外の選択肢がありません。
つまり、どういう方法で治療していくにせよ薄毛を止める飲み薬は併用しなければならないわけです。
ただ、これはあくまで生やす治療においての話なので、もし薄毛を隠す方向での対策でも良いのであれば増毛パウダーやウィッグなどの選択肢があります。
副作用に「初期脱毛」があるって聞いたんだけど……
薬の服用を開始した最初の1〜2ヶ月に抜け毛が増えてしまう「初期脱毛」という現象があるのは事実です。
ただ、これは厳密には「副作用」と呼べるものではありません。
なぜかというと、初期脱毛で抜けているのは成長が止まっていて、そのうち抜ける予定だった毛だけだからです。
簡単に言えば、毛穴に刺さってるだけだった死んだ毛が、新しく生まれてきた毛に押し出されたせいで抜けているのが初期脱毛なのです。
成長の止まっている死んだ毛は、仮に初期脱毛が起こっていなくても2〜3ヶ月経てば自然と抜け落ちる毛です。
ようするに、初期脱毛とは将来の抜け毛が前倒しで抜けているだけの現象なのです。
これは身体的に異常が起こって抜けている毛ではありませんし、むしろ薬の効果によって毛が生えてきた証拠とも言えます。
なので、初期脱毛は副作用ではないのです。
AGA治療に使う飲み薬はどれがおすすめ?
プロペシアかザガーロをミノキシジルと併用するのがおすすめです。
薄毛を止める効果と毛を生やす効果で相乗効果が狙え、単体で使うよりも薄毛の改善が早まる期待が持てるためです。
プロペシアとザガーロのどちらを使うかは副作用の発症率と効果の強さを天秤にかけるのがいいでしょう。
副作用が少ないものが良ければプロペシアを使うべきだし、多少のリスクがあっても効果が強いものがいいのであればザガーロを使うべきです。
AGAの薄毛を改善したいなら飲み薬!
今の医学ではAGAの症状を改善したいと考えたら飲み薬を飲むのはほぼ必須事項です。
AGAの飲み薬には効果や副作用の発現率などが異なる薬が大きく分けて3種類あるため、目的に応じて薬の使い分けをしていくことになります。
あなたが目指していく治療と薬の組み合わせについてはAGA治療専門の病院が的確な組み合わせで処方してくれるでしょう。
もし「薬での治療は嫌だ」というのであれば、増毛や髪型などの「隠す対策」がおすすめです。
ただしその場合は自分の毛が生えてくるという効果が得られないので、自分が「副作用のない対策」を重視するのか「毛が生える対策」を重視するのかを考えて見てください。