髪の毛の雑学
2017.05.01更新
タバコとハゲの関係!禁煙でハゲが改善するってホント?
目次
タバコを吸っただけじゃハゲない!?
「タバコは髪に良くないのか」と聞かれたら私は迷いなくYESと答えます。
しかし、「タバコが原因でハゲるのか」と聞かれたら、少なくともYESとは答えられません。
タバコがハゲの原因と言われているのは、ニコチンが血行の悪化を引き起こしたり、喫煙そのものが髪に必要な栄養を消費するからです。
確かにタバコは血行の悪化や栄養の消費によって、非喫煙者よりも髪の毛へ栄養が届けにくくなっています。
これは紙タバコに限らずアイコスなどの電子タバコ、葉巻でも同じです。
髪の毛への栄養配達が阻害されることから、タバコが髪の毛にとって良くないものであるのは間違いないと言っていいでしょう。
ただ、それが「ハゲ」を引き起こすレベルの悪影響かと言われたら疑わしいと言わざるを得ません。
確かに普通に比べれば髪の毛への栄養伝達は阻害されます。しかし、それは栄養補給が断たれているわけではないのです。
たとえば高速道路の車線がひとつ使えなくなっても物資の配送に大きな影響が出たりはしませんよね。
血管という道路が少し狭くなっても、血液は十分に通っているのでハゲのような悪影響は出にくいのです。
あくまで「髪の毛に良くない」レベルに収まるでしょう。
それに、もしこの血行の悪化や栄養の消費が原因でハゲるのであれば、髪の毛以外の体毛もハゲないとおかしいです。
だって血行の悪化は全身に起こっていますし、栄養だってすべての体毛が必要としていますからね。
実際には、ほとんどのハゲは頭髪にしか起こりません。
薄毛で腕や足の毛も一緒にハゲるという症状は聞かないし、それどころか「普通の人よりも濃い」という例を多く聞くくらいです。
つまり、タバコが髪の毛に良くないのは事実なのですが、多くのハゲの原因はタバコではなく、それ以外のところにあるのです。
男性のハゲは遺伝と男性ホルモンが原因のAGAだった!
多くの男性がハゲてしまうのは『AGA(男性型脱毛症)』という脱毛症のせいです。
詳しくは「AGA(エージーエー)とは?男性型脱毛症による薄毛・ハゲの原因と治し方!」で解説しているのでこちらの記事を参考にしてほしいのですが、簡単に説明するとAGAは遺伝と男性ホルモンが原因で起こる脱毛症であり、血行の良し悪しは関係がありません。
特に原因のひとつが「遺伝」というのがポイントで、たとえ1日に数箱のタバコを吸うヘビースモーカーでも遺伝していなければハゲないし、逆に生まれてから1本もタバコを吸ったことがない人でも遺伝していたらハゲてしまうという特徴があります。
また、遺伝が原因なので個人的な対策が一切できないというのももうひとつ忘れてはならない特徴です。
食事に気を使ったりヘアケアを念入りに行っても遺伝子はなくならないので、AGAを治すためには薄毛治療専門の病院で医学的な薬をもらって治療する必要があります。
ここまで説明すると「どうせ遺伝でハゲるか決まってるならタバコを吸ったっていいじゃん」と思う人もいるかもしれません。
しかし、それは大きな間違いです。
実は、AGAとタバコの間には大きな関係があるのです。
AGAはタバコで加速する!
台湾の研究者が発表したタバコとAGAに関する論文によれば、タバコとAGAの関係について以下の3つが判明しています。
- AGAの中度〜重度の患者は非喫煙者に比べて喫煙者が1.77倍多い
- 1日20本以上タバコを吸うヘビースモーカーは、そうでない人に比べるとAGA発症率が2.34倍高い
- ニコチン濃度の高いタバコを吸うほどAGAが重症化する
このことから、AGAになる遺伝的素養がある人に限って言えば、タバコが原因でハゲるリスクが上がっていると言えます。
簡単に言えば、タバコは直接ハゲを引き起こしはしないのですが、ハゲの悪化は引き起こすのです。
先ほど説明したように、男性のハゲの根本的な原因にタバコは関わっていません。
遺伝が原因のAGAではタバコをやめたからといってハゲない保証はどこにもありませんし、ハゲている人が禁煙してもそれだけでハゲが治ることもありません。
ただ、もしあなたがAGAを遺伝しているなら、禁煙は発症リスクを下げることに繋がります。
髪の毛のことを考えたら禁煙すべきと言えるでしょう。
タバコをやめたらハゲたんだけど……
医学的に言えばタバコを吸ってハゲることはあってもやめてハゲることはありません。
なんせ髪の毛に悪い物質なのですから、やめたほうが髪の毛にとって良くなるに決まっています。
にも関わらずハゲてしまったということは可能性はひとつ、ストレスによる脱毛だと考えられます。
人間の身体は強いストレスを長期間受け続けると成長ホルモンが出しづらくなるという特徴を持っています。
禁煙によるストレスで成長ホルモンが出づらくなり、毛が成長できずに抜けたと考えれば辻褄は合うでしょう。
禁煙のストレスは人それぞれなので必ずしもそうなるとは言えませんが、もし禁煙が大きなストレスとなっているのであれば、精神的な健康のためにもタバコを吸う選択肢もありだと思います。
1日1本タバコを吸うだけでイライラすることがなくなって、寝付きや目覚めが良くなったり食欲が出てくるなんてことになるならわざわざやめる必要はないでしょう。
タバコがやめられないときはどうすればいい?禁煙達成3つのコツ
理想を言えば今日からタバコを一本も吸わないのが最高なのですが、喫煙者が今すぐにタバコを0本にするのは難しいのも事実です。
タバコに限らず、自分が好んで行なっていることを今すぐにやめることは困難だし、ストレスも溜まるのでそれはそれで身体的にもよくないですよね。
なので、禁煙するときには以下の3つを心がけ、気づいたらタバコがやめられていたという状況を作り出しましょう。
ニコチン濃度を下げる
論文でも結果が出ているように、ニコチン濃度が高いタバコを吸っている人ほどAGAのリスクが高まっています。
なので、いきなり本数を減らすのではなく、まずは吸っているタバコのニコチン濃度を下げるところから始めましょう。
普段よりも軽くて物足りないと感じるかもしれませんが、慣れればその濃度が自分の中の普通になります。
そうやって少しずつ自分の身体からニコチンを減らしていくのです。
1日あたりの本数を減らす
論文では1日に20本以上吸っているヘビースモーカーだと2倍以上もAGAになりやすいという結果が出ていました。
もし1日に20本以上吸っているなら、ただちにこの基準以下の本数に抑えましょう。
もちろん20本以内ならOKというわけではありません。
本数が少なければ少ないほどニコチンの摂取量が減るわけですから、今吸っている本数よりも1本でもいいから少なくしていくのが大事です。
タバコを吸う日と吸わない日を決める
お酒を飲まない日を「休肝日」と呼びますよね。それの肺バージョンをやろうというわけです。
まず最初は1週間に1日くらいの達成しやすいスパンでタバコを吸わない日を設定していきます。
完全禁煙だと「明日から一生タバコが吸えない」と感じて耐えられなくなってしまうのですが「今日1日だけ吸えない」なら耐えられますからね。
そうやってタバコを吸わない日に慣れていき、少しずつ吸わない日を増やし続けていくことで完全禁煙に近づいていこうというわけです。
タバコではハゲないが悪化はする!ハゲ対策は禁煙+病院の治療
タバコが髪の毛に良くないのは間違いありませんが、世の中で言われている「タバコでハゲる」という噂は疑わしいです。
少なくとも、タバコのみが原因となってハゲを引き起こすようなことはまず起こらないと言っていいでしょう。
男性のハゲはその多くがAGAという遺伝的な脱毛症です。
AGAは遺伝が大きな要素として存在しているため、タバコを吸った吸わないでAGAになるかどうかは決まらないのです。
そういう意味では「タバコでハゲる」は嘘と言ってもいいかもしれません。
ですが、原因が遺伝だからと言ってタバコを吸っていてもいいわけではありません。
AGAはヘビースモーカーほど重症になりやすいという研究結果もあります。
ハゲの遺伝的素養がある人に限って言えば「タバコでハゲるかもしれない」のです。
薄毛対策をできる限り効果的なものにしたいのであれば、禁煙・減煙を心がげましょう。
ただし、禁煙しただけでハゲが治るわけではありません。
禁煙はあくまで補助的なものであって、メインは病院での治療です。
薄毛治療をしているクリニックでの医学的な治療をメインとして、さらにその治療を効果的にするための禁煙するという方向性でハゲを治していきましょう。