髪の毛の雑学
2017.07.16更新
「ハゲに効く薄毛防止シャンプー」なんて存在しない!「ハゲないシャンプー」が実在しないワケ
我々はどうしても「薄毛を治したい」という願望と同時に「手軽に済ませたい」という感情を発生させてしまい、シャンプーのような日常生活に根ざした行動で薄毛を対策しようとしてしまいがちです。
しかしながら、薄毛が防止できる「ハゲないシャンプー」はこの世に存在しません。
目次
すぐに洗い流してしまうシャンプーではどんな成分が入っていても薄毛対策ができない!
まさか髪を洗った後、シャンプーを洗い流さずにお風呂から出てしまう人はいないでしょう。万が一「洗い流さない主義だ」なんて人がいるのであれば、それが原因で薄毛になりますし今すぐやめるべきなNG行為ですからね。
どんな人でも「髪の毛を洗い終わったらシャンプーを流す」。これは当たり前の行為な訳です。
ですが、この「使ったら洗い流さなければならない」というシャンプーの性質って薬の成分と致命的に相性が悪いんですよ。
塗り薬は「塗った皮膚の細胞の隙間から染み込むようにして血管へとたどり着き、そこから血液に乗って循環する」という仕組みで効果を発生させています。
これは逆に言えば「血液に乗って循環」までたどり着けなければ効果は発生しないということなんですね。
で、塗り薬が効果を発生させるまでの時間なんですけど、これは皮膚薬物動態学的試験についてのページで「ローションなら6時間、軟膏なら4時間」という結果が出ています。
つまり、たとえどんなに素晴らしい成分が配合されていても2〜3分で洗い流してしまうシャンプーからは成分を吸収する暇がないので効果が出ないんですね。
そもそもシャンプーは薬ではないので薄毛対策になる成分が入っていない!
「シャンプーは成分の効果が出てくる前に洗い流してしまうのでハゲ対策にならない」という理屈を見て「じゃあシャンプーも6時間頭皮につけっぱなしにしたら薄毛対策になるのでは?」と一休さんのような閃きを得た人もいるかと思われます。
しかし、例え6時間シャンプーを髪の毛につけ続けても薄毛対策になるなんてことはありません。それどころか6時間どころか24時間つけていたって薄毛対策にはなりません。
なぜなら、この国の法律上、シャンプーに薄毛対策になるような成分を配合することはできないからです。一応海外では発毛剤の「ミノキシジル」配合のシャンプーが販売されていたりしますが、少なくともこの国では売られていません。
日本の法律ではいわゆる「薬」とされているものが大きく分けて3種類あります。「医薬品」、「医薬部外品」、そして「化粧品」です。
簡単に違いを説明すると、病院に行ったときに処方してもらえるような「病気を治療できるくらい効果の強い薬」が医薬品。 市販されているうがい薬のような「病気を治すほどの力はないが健康状態を維持したり、不健康になるのを予防する程度の効果ならある薬」が医薬部外品。
そして化粧水のような「医学的に効果があると認められた成分が配合されていないもの」が化粧品です。
先ほど薬は3種類あると言いましたが、便宜上そう呼んだだけで実際には化粧品は薬でもなんでもないわけですね。
そして一般的なシャンプーはこの区分のうち化粧品にあたります。つまり、シャンプーには薄毛を対策できる成分が配合されていないと法律が保証しているんですよ。
また、薄毛に効果的とされる「スカルプシャンプー」とか「薬用シャンプー」といったものも販売されていますが、これらは医薬部外品に当たります。
医薬部外品なので、化粧品のシャンプーに比べれば有効な成分が含まれてはいるのですが、それでも「症状を治すレベルに強い効果」が入っているわけではありません。
効果を得られたとしても医薬部外品の効果では健康被害による抜け毛予防くらいが限度です。
しかもその効果を得るためにはシャンプーを洗い流してはいけませんから、気が遠くなるほど長い時間、シャンプーを頭につけっぱなしにしなければなりません。
結論としては、普通に頭を洗うためのシャンプーでは薄毛対策は不可能ということになるのです。
薄毛を治したかったらクリニックに行くしかない
薄毛をシャンプーで治したいという気持ちは痛いほどよくわかりますが、シャンプーでの薄毛対策が現実的に不可能である以上は別の手段を講じるしかありません。
薄毛の症状を"治療"したいのであれば強い効果を持った医薬品を使う必要があり、医薬品はごく一部の例外(大正製薬のリアップシリーズ)を除けば医療機関を受診して医師から処方してもらうしかありません。
できるだけ自力で治したいのは山々でしょうが、薄毛を治すにはクリニックへ行くしかないのです。
薄毛につながる良くないシャンプー方法は存在するので正しい方法でシャンプーするのが大事
シャンプーで薄毛を治すことはできませんが、シャンプーが原因で抜け毛が発生することはあります。
頭皮を傷つけたり、皮脂を洗い流しすぎたり、シャンプーの洗い残しをしてしまうといった良くないシャンプー方法を行っていると頭皮が炎症を起こして脱毛が起こる危険性があるのです。
それを防ぐためには「もうシャンプーで排水溝を黒くしない!抜け毛を増やさないための正しい髪の洗い方」の記事で解説しているような正しい方法でシャンプーを行う必要があります。
シャンプーが髪の毛にとって重要な習慣であるということは変わらないままなのです。
まとめ
ハゲないシャンプーや薄毛予防になるシャンプーなどといった商品はこの世に存在しません。もしそんなものが売っているのだとしたらそれは信用できない商品でしょう。
そもそもシャンプーには何かを治すような成分が配合されていない上に、すぐに洗い流すというシャンプーの特性上、仮に薄毛対策の成分が配合されていてもそれが効果を発生する前に流れて消えてしまうのです。
薄毛を治したいのであれば、薄毛治療専門のクリニックへ行くしかありません。