サウナが抜け毛対策になるって本当？ふたつの嘘と本当のメリットを解説

最近、サウナに入ることが抜け毛の対策になるという噂が広まっています。

サウナに入ることは美容や健康に良いというのは昔から言われてきましたが、最近では抜け毛にすら効果があると言われているのです。

果たしてそれは本当なのでしょうか。このページではサウナが頭皮と髪の毛にもたらす効果をわかりやすく解説していきます。

サウナで薄毛対策はできないが、抜け毛対策はできる！

結論から言うと、サウナでの薄毛対策は不可能ですが、抜け毛対策は可能です。

「いやいやいや、発言が矛盾してるじゃないか」と思われるかもしれませんが、これがサウナの真実なのです。

これだけでは意味不明だと思うので、詳しく解説していきましょう。

薄毛のメカニズムはサウナと無関係！

薄毛という言葉は医学的な単語ではないので明確には定義されていませんが、一般的には上の画像のように「頭皮が髪の毛で隠せていない状態」と考えていいでしょう。

上の画像のような薄毛は、そのほとんどがAGA（男性型脱毛症）によって引き起こされます。つまり男性の薄毛＝AGAなわけです。

さて、ここで既に薄毛がだいぶ進行してしまっているAGAの男性がいるとしましょう。

彼が毎日サウナに入ることにしたら薄毛の症状が改善していくでしょうか。

残念ながらどれだけサウナに通っても確実に薄毛は進行します。

これにはAGAが起こるメカニズムが関係しています。

「AGA(エージーエー)とは？男性型脱毛症による薄毛・ハゲの原因と治し方！」の記事で解説しているように、AGAは遺伝と男性ホルモンが原因で起こる薄毛です。

現代医学では遺伝した形質を消すことができませんから、自動的に「AGAの進行を止めるためには男性ホルモンのはたらきを阻害するしかない」ということになります。

じゃあ、サウナに男性ホルモンを阻害する効果があるのかっていう話なんですけど、まったくもってそんなことはないんですよね。サウナにAGAの原因を取り除く効果はないんですよ。

頭皮環境の悪化で起こる抜け毛であればサウナが予防のひとつとなることも

そもそも人間の髪の毛というのはどれほど健康な人でも一定期間で抜けるようにできています。

詳しくは「人間の髪の毛って何本くらいあるの？髪の毛や1日の抜け毛の本数を解明！」で解説していますが、だいたい1日に平均で70本以上は抜けてしまう計算です。

ですから、抜け毛が起こることそれ自体は決して異常なことではないんです。

ただ、この1日あたりの抜け毛が正常な本数を超えて200本以上も抜けてしまうこともあります。

こういった抜け毛は頭皮環境の悪化が原因で発生していることが多いんですね。

そして頭皮の環境改善という目的であればサウナも効果を発揮することができるんですよ。

サウナが頭皮にもたらす「頭皮の血行改善」というメリット

サウナは頭皮の環境改善を目的とした場合、大きなメリットを持っています。

それは頭皮の血行が良くなるというメリットです。

私たちの血管は高い温度に晒されると拡張して血流が良くなるという特徴を持っています。

血液は頭皮に髪を育てるための栄養を運ぶ補給路でもありますから、頭皮の血行が良くなることで頭皮の環境が改善されていくわけなんですね。

サウナ信仰が教えているふたつの嘘

実はここまでの文章であえて触れていない話題がありました。

それはサウナの話題になれば大抵出てくる「デトックス」と「代謝」の話です。

「サウナが身体にいい」という話題になると必ずと言っていいほど出てくるデトックス効果と代謝能力ですが、サウナでデトックスができる・代謝能力が上がるというのは完璧に嘘です。

サウナが持つ本当のメリットを語ったところで次はニセモノのメリットを語っていきましょう。

デトックス効果の嘘

デトックスとは、本来は「体内にある毒物を体外に排出する」ことを指す言葉で、解毒を意味する英語の「detox」から来ています。

しかし美容や健康の世界ではもっぱら「老廃物や不純物を体外に出す」という意味で用いられているのが現状です。

「デトックス」とか「老廃物を排出」なんて言葉を使うとすごく特殊なものに聞こえますが、実は私たちは毎日デトックスを行っていることをご存知ですか？

絶対に誰もが毎日行っているデトックス、それがトイレなんです。

私たちは身体に悪影響のある物質が体内に入り込んできたら、それを体内で分解してさまざまな方法で体外へと排出します。トイレはその代表格ですね。

そしてサウナでかく汗も同様に体外に老廃物を排出する効果を持っているため、「サウナを使うとデトックス効果が見込める」という噂が広まりました。

しかし、この説には致命的な情報が抜けています。それはトイレや汗がどれくらいデトックスの役割を担っているのかという「排出率」です。

この排出率を明確にしていないがために、あたかも発汗が老廃物の排出に欠かせない存在であるかのように勘違いしてしまうんですね。

ですが、現実はまったくもって違います。体内の毒物をどれだけ排出するかという割合ですが、トイレが95％なのに対して、汗はたったの3％です。

要は、どんなにサウナで汗をかいたって、老廃物の排出力はトイレに行くことの足元にも及ばないわけですよ。

例えばサウナに行ったことで汗でのデトックス効果が5％になったとします。

それでなにが変わるっていうんですか？仮にトイレでの排出率が93％に下がったとしても、まだトイレの方が18倍効率的なんですよ？

老廃物や不純物を体外に排出するのは大事ですが、サウナに通いつめたからといって常人よりも不純物を排出しやすくなるのはあり得ません。

つまり、「サウナのデトックス」というのは100％嘘ではないものの、ほぼ期待できないという点から言えば間違いなく嘘なのです。

代謝アップの嘘

「サウナに入ると代謝が上がるから髪にいい」という説はもうどこから話せばいいのかわからないくらいに嘘です。

ここで言われている「代謝」とは、古い細胞は新しく作り変えられて身体はどんどん新しい細胞に変わっていくことを意味する「新陳代謝」のことだと思われます。

私たちが怪我をしても皮膚が元どおりになるのも代謝ですし、人間の毛が生え変わるのも代謝です。

で、多くのサイトではこの代謝がサウナに入ったら上がるというのですが、そんなことにあり得ません。

なぜなら、細胞が作り変えられるのに必要な時間は決まっているからです。

たとえば胃腸の細胞は5日周期、骨の細胞だったら3ヶ月周期とそれぞれのパーツごとに明確に時間が決まっています。

細胞分裂の周期は明確に決められているので、ただサウナに入った程度で早まることはないのです。