薄毛治療
2017.07.16更新
生え際への自毛植毛!髪の移植にかかる費用や本数と注意点
このページでは生え際に自毛植毛を行う際に気をつけるべき注意点や、気になる手術料金・移植本数など基本的な情報までをわかりやすくまとめました。
「長い文章を読みたくない!」という方のためにすぐ下にざっくりとした説明もご用意してますので、5分で理解したい方はざっくりバージョンに目を通して見てください。
目次
ざっくり説明すると
生え際に自毛植毛を行う場合、クリニックやM字の進行具合によっても変わりますが1000本から1500本の移植で50万円から100万円ほどが手術費用の相場になります。
生え際に自毛植毛を行う際の注意点として、脱毛症の根本的な治療にはなっていないので「移植部分以外の薄毛は対策しなければそのまま進行し続けること」と、ある程度太い毛しか移植できない自毛植毛では「本来の生え際にあるような産毛の再現ができない」という点が挙げられます。
また、特に気をつけてもらいたいのが「医師の腕によって手術後の自然さが大きく変わってくる」点で、世の中には未熟な医師に当たったせいで「違和感の大きすぎる植毛部分に脱毛手術をする」という手術で植えた毛を手術で抜く事態に陥った方もいます。
そもそも自毛植毛について詳しく知りたいという方は「自毛植毛って失敗しない?安全なの?ハゲてるポイントに髪の毛を移植する薄毛治療法「自毛植毛」の効果とデメリットを徹底解説!」の記事を参考にしてください。
自毛植毛とは
自毛植毛は「薄毛になっていない部分の毛を薄毛の部分に移植する」という手法の移植手術です。
昔は植毛といえば人工的に作った毛を移植する人工毛植毛がメジャーでしたが、現在では人工毛植毛を禁止している国も多く、植毛といえば自毛植毛と言えるほど一般化した植毛方法です。
毛根の移植は、皮膚ごと毛根を採取する「FUT法」と、毛根ひとつひとつをくり抜いて採取する「FUE法」というふたつの方法に分けられます。
使う機器が違ったり方法にアレンジが加わった「i-Direct」や「i-SAFE」、毛根の採取にロボットを使用する「ARTAS」などクリニックによって名前が変わったりはしますが、根本的な部分で言えば、「皮膚ごと毛根を採取するか」と「毛根をひとつひとつ採取するか」の2種類しかありません。
自毛植毛については「自毛植毛は失敗しない?リスクやデメリットと対策」で解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
FUT法とは
FUT法はまず頭皮を切り取って、そこから毛根を採取する方法です。
施術時間が短く「生着率」(植えた毛根が根付く確率)が高い傾向がありますが、皮膚ごと切り取るために一本線のような傷口が大きく残るというデメリットもあります。
横一本線の手術痕と2〜3日ほどズキズキとした痛みが残ります。
FUE法とは
FUE法は毛根をひとつひとつくり抜いて採取する方法です。
毛根をひとつひとつ採取するためFUT法よりも施術時間が長く生着率も若干落ちる傾向がありますが、施術後も傷口が目立たないというメリットがあります。傷のサイズは毛根ひとつにつきボールペンのペン先程度の傷がひとつです。
傷口が小さいので術後の痛みは痛みというよりはかゆみに近く、チクチクと針先でつつかれるような感覚が2〜3日続きます。
自毛植毛の効果
自毛植毛には「植毛された毛は普通の毛と同じように生え続ける」「自分の毛を植毛するので拒絶反応が起きにくい」という2つのメリットがあります。
植毛された毛は普通の毛と同じように生え続ける
自毛植毛で移植するのは厳密に言えば毛ではなく毛根です。
つまり毛を生やすシステムそのものを移植するため、普通の毛と同じように伸びてきますし、抜けても再び生えてきます。
植毛された毛はAGAの影響を受けない
自毛植毛で移植した毛は男性型脱毛症「AGA」の影響を受けないという特性を持っています。
これはAGAの原因となっている物質が後頭部や側頭部の毛には存在せず、移植後もその特徴を受け継ぐからです。
AGAにならない毛を移植するので、AGAによる薄毛の影響を受けないというわけなのです。
ただし、移植部位以外は依然としてAGAの影響を受けるため、AGA治療を完全に止めることはできません。
生え際の植毛に必要な本数は1000本から1500本!
生え際に自毛植毛を行う場合、必要とされる本数の目安は1000本から1500本となっています。
「以外と多いな」と感じるかもしれませんが、たとえ面積が少なくとも移植する髪の毛の密度が低いと前髪がスカスカになって結局薄毛に見られてしまうため、移植する本数が多めに必要になってくるんですね。
また、「定着率」という問題もあります。
定着とは「移植した髪の毛の毛根がしっかりと頭皮に根付くこと」を指す言葉で、つまり「移植に成功した髪の毛が何割ほどあるか」というのが定着率です。
自分の毛を移植する自毛植毛は拒否反応が起こらないので定着率は非常に高いのですが、それでも80%から90%弱が一般的な定着率でして、どうしても1割弱の毛は毛根が根付かずに抜け落ちてしまうんですね。
つまり髪の毛を1000本移植しても実際には800本から900本弱しか移植に成功しないので、その減ってしまう1割をあらかじめ補填しておくためにも、移植本数は1000本から1500本が一般的となっているわけなのです。
ただ、すべてのM字ハゲが1500本以内に収まるわけではなく、例えば下の画像のように生え際の後退が重度になっている場合は2000本から2500本ほどと移植本数も倍増します。
あくまで一般的な生え際の後退を手術したときの目安であって、実際にはクリニックの医師との相談によって決まることは覚悟しておいてください。
生え際に植毛したときの値段は50万円から100万円!
生え際の植毛は頭頂部への植毛に比べると移植本数が少なくすむため、頭頂部への移植よりは値段も安くなりますが、それでも自毛植毛自体が高額な手術とあって50万円から100万円ほどはかかってしまいます。
値段に大きくばらつきが出てきてしまっていますが、その理由は自毛植毛手術は各クリニックで最新の機械を使っていて高価だったり、独自の割引キャンペーン等を行っていて安くなっていたりとクリニックごとに違いがあるからです。
例えば症例写真をホームページで使用させてもらう代わりに手術費用を安くする「モニターキャンペーン」は多くのクリニックで行われていますが、モニターになるかならないかで手術費用が1〜2割は変わってきます。
このように植毛を行っているクリニックといっても種類はさまざまですので、目的や予算に応じてクリニックを探してみてください。
生え際に植毛する際の注意点
生え際の植毛は本数や値段以外にも注意すべき点が多く存在します。
特に気をつけてもらいたいのが以下の3点です。
自毛植毛をしても生え際の後退そのものが治るわけではない
自毛植毛はあくまで「髪の毛を失った地点に再び毛を生やす」治療であって、薄毛の進行を止める治療ではありません。
例えば、今まで投薬治療で薄毛対策をしていた人が自毛植毛をして「これからは対策をしなくて済むぞ!」などと考えて薬を飲むのをやめてしまった場合。
一体何が起こるのかというと、移植した髪の毛以外の部分の薄毛が進行し、最終的に移植部分が離れ小島のように残ったハゲになってしまいます。
基本的に、自毛植毛を行っても投薬治療を止めることはできないという点には注意が必要です。
投薬治療は薄毛の進行を止めるフィナステリド(プロペシア)が1ヶ月あたり6,000円ほどですので、手術をした上で毎月6,000円ほどかかるということは覚悟しておいてください。
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生え際の産毛までは再現できない
人間の髪の毛は「後頭部に行けば行くほど毛が濃くなっていく」という特性を持っています。
したがって、自毛植毛ではある程度太い毛しか移植できないんですね。
ですが、鏡を見ればわかるように私たちの生え際は「産毛から始まってどんどん濃くなっていく」ようにできているため、自然な生え際を再現しようとするとどうしても細い毛が必要になってきてしまうんです。
医師の人はできるだけ細い毛→太い毛のラインを作ってはくれるのですが、どうしても使ってる毛が後頭部のものですから、完璧に元どおりの自然な生え際にはならないのです。
もちろん周囲の人から見て「変だな」と思われるようなものにはなりませんが、オールバックなどの生え際が目立つ髪型にすれば違和感を抱かれるかもしれませんし、自分でじっくり鏡を見ているときに「なんか違うな」と感じることはあると思います。
いずれにせよ、失った前髪が完璧な形で戻ってくるわけではないのです。
医師の腕によって出来が左右される
自毛植毛は医師の腕によって生え際のクオリティが露骨に変わってきます。
具体的にどれくらい違うかというと「違和感が一切ない自然な生え際を作る職人のような医師に手術をしてもらえた。十分以上に満足している」と言う人もいる一方で、腕が未熟な医師に当たってしまい「これならハゲてた頃の方がまだマシ」と言って、せっかく植毛した部分の脱毛手術を行う人もいるくらい差が激しいです。
単に薬を飲むだけの治療と違って自毛植毛は一生ものの手術ですから、受診するクリニックは慎重に選びましょう。
まとめ
生え際への自毛植毛は安くても50万円以上はかかってしまう高額な治療法であり、外科手術なのでやり直しがきかないリスクの高い治療でもあります。
薄毛の根本的な治療でもないことから投薬治療を続けなければならないケースも多く、「自毛植毛さえすれば大丈夫」というものではない点には注意が必要です。
また、施術を行う医師の腕も非常に重要で、クリニック選びには最新の注意を払う必要があります。
事前にできるだけ多くの情報を集め、手術に関する医師との擦り合わせは妥協がないように徹底的に行うべきです。