AGA(エージーエー)
2017.02.17更新
AGA治療方法まとめ【2018年版】
このページでは病院で受けられる薄毛治療にはどんなものがあるのか、それらはどういった治療なのかを解説していきます。
目次
発毛剤治療
発毛剤治療とは、医師に処方された発毛剤を使用して薄毛を治療していく方法のことです。
ここで注意して欲しいのが、病院で処方される発毛剤と市販されている育毛剤には明確に差があって、市販されている育毛剤ではまったく治療にならないということです。
詳しくは「育毛剤って本当に効果あるの?あなたの知らない育毛剤の真実」で解説していますが、市販の育毛剤には毛を生やす効果が一切ありません。
ですので、市販の育毛剤ではなく、効果の高い発毛剤を使っていくわけですが、発毛剤は医師による処方がなければ購入することができません。
そこで医療機関で「AGA」であることを診断してもらい、医師や薬剤師の管理のもとで発毛剤を使用するのです。
発毛剤治療の効果
発毛剤治療で処方される薬は主にフィナステリド(プロペシア)とミノキシジルの2種類で、フィナステリドが効かない場合にはデュタステリド(ザガーロ)が処方されます。
それぞれの成分について以下のようになっています。
フィナステリド
フィナステリドはAGAの原因となっている男性ホルモン「DHT」の生成を抑える成分です。
一番最初に作られたフィナステリドの薬が「プロペシア」という商品名だったことから、フィナステリドよりもプロペシアという名前の方が有名だったりします。
成分の名前で呼ぶか商品の名前で呼ぶかという違いでしかないので、このふたつに違いはありません。フィナステリド=プロペシアと読み替えてもらってもOKです。
フィナステリドには体内でDHTを作っている「5α-リダクターゼ」が働かないように押さえつける効果があります。
たとえ男性ホルモン受容体を遺伝していたとしても、DHTがなければ受容体は脱毛因子を作ることができません。
よって、フィナステリドを摂取することでAGAの原因を実質的に取り除き、薄毛の進行を止めることができるのです。
フィナステリド(プロペシア)について、もっと詳しく知りたくなった方は「プロペシアを徹底解説」を参考にしてください。
ミノキシジル
フィナステリドはAGAの原因を阻害するだけなので、抜け毛を止めた後に毛が生えるかどうかは本人の身体次第という弱点があります。
症状が初期の人であればフィナステリドだけでも十分に発毛するのですが、症状が進行している人だと毛がなかなか生えてこないケースも少なくありません。
そこで登場するのが『ミノキシジル』です。
ミノキシジルには「毛を生やす」という単純明快な発毛効果があり、AGA以外の薄毛においても治療薬として使われている発毛剤です。
毛を生やす効果はあるもののAGAによる抜け毛を止める効果がないので、通常はミノキシジル単体で使うとAGAによる抜け毛とミノキシジルによる初詣いたちごっこになり効果が薄いのですが、AGAを阻害した状態でミノキシジルを使えば抜け毛に悩まされることなく髪の毛を増やすことができるのです。
このAGA阻害のプロペシアと毛生え薬のミノキシジルのコンボで薄毛を治療して行くのが現在の発毛剤治療のスタンダードとなっています。
詳しくは「プロペシアとミノキシジルの発毛剤治療を徹底解説」で解説していますので、より詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
デュタステリド
デュタステリドはフィナステリドと同じくAGAの原因となっているDHTの生成を抑える効果を持った成分です。
デュタステリドはフィナステリドよりも強い効果を持つのですが、フィナステリドに比べると副作用が出やすいことから「フィナステリドが効かなかったときの薬」といった使われ方をします。
デュタステリドについて詳しく知りたい方は「デュタステリドを徹底解説」を参考にしてみてください。
発毛剤治療のメリット
医療機関で処方される発毛剤はどれも「二重盲検法」という方法で効果が確かめられています。
二重盲検法とは、「人間の思い込みの力で治ってしまったのではないか」という疑いをなくすための検査です。
実は人間の思い込みはかなり強い力を持っていて、薬品の効果として似たよう効果を出してしまうことがあります。たとえば「風邪薬だよ」と言いながら風邪の人に小麦粉を飲ませると、小麦粉を薬だと勘違いした患者が思い込みの力で風邪を治してしまうなんてことがあったりします。
その思い込みの力を排除して、本当に薬の効果だけで治療できているかどうかを調べる検査が二重盲検法です。
医療機関で処方される発毛剤はいずれもこの二重盲検法をクリアしているので、効果は信用できます。
そしてその高い効果を持つ医薬品を、症状に合わせてお医者さんが処方してくれるので、安心して薄毛治療をできるというわけなのです。
発毛剤治療の注意点
発毛剤には、わずかながら副作用があります。
男性ホルモンのはたらきを弱めるフィナステリド・デュタステリドには「性欲減衰」や「勃起不全」、「射精障害」などの副作用が、そして元々は高血圧の薬として開発されていたミノキシジルには大量使用すると「低血圧」になる危険性があるという副作用が確認されています。
どちらも確実に起こるわけではないのですが、副作用があるという点には留意すべきでしょう。
植毛(自毛植毛)
植毛は薄毛の部分に毛(毛根)を移植する外科手術です。自分の後頭部や側頭部から毛を採取して、それを薄毛の部分に移植する手術のことを自毛植毛と呼びます。
昔は植毛といえば人工的に作った人工毛を移植していましたが、人工の毛を頭皮に移植するのは拒否反応のリスクなど安全性に欠けることから現在では廃れてきています。日本では禁止されていませんが、海外では人工毛植毛が禁止されているところも多いです。
自毛植毛については「自毛植毛を徹底解説」の記事が詳しいので、もっと知りたい方はこちらを参考にしてください。
自毛植毛の効果
自毛植毛は男性ホルモン受容体の影響を受けない毛が移植できるという大きな特徴を持っています。
実はAGAの男性でも側頭部や後頭部の毛はAGAによって抜けないという特徴を持っていて、その特徴が移植後にも引き継がれるのです。
しかも、人工毛ではなく自分の毛根を移植しているため、自毛植毛に成功すればその後は特殊な薬品や器具を使わなくても半永久的にその毛が生え続けます。
自毛植毛のメリット
上でも説明しましたが、自毛植毛で移植した毛根はきっちりと根付くことができれば、その後はヘアサイクルにしたがって生涯髪の毛を生やし続けます。
そして後頭部から移植された毛根は、前頭部や頭頂部に移植されても「男性ホルモンの影響を受けにくい」という特性を失うことはありません。
ですから、「髪の毛が再び生えてくる上に、移植した部分が再び薄毛になる可能性は非常に低い」という素晴らしい毛髪環境が出来上がるのです。
また、自毛植毛した毛を維持するために定期的なメンテナンスや特殊な薬品の継続的な使用が必要になるといったことは一切ありません。
自毛植毛で毛が生えるメカニズムは身体の正常な反応によるものなので、薬の力で男性ホルモンを押さえつけたりする必要がないのです。
自毛植毛の注意点
- 発毛剤治療を続けなければならない
- 費用が非常に高額
手術後も発毛剤治療を続けなければならない
自毛植毛はAGAの影響を受けず、自力で生え続ける毛を移植するんだから、普通に考えたらそこで治療が終了すると思いますよね。
しかし、それは大きな間違いなのです。
自毛植毛はAGAを根本的に治療したわけではなく、あくまでAGAにならない毛を移植しただけです。
つまり、自毛植毛を受けていない部分では着実にAGAが進行しているため、別途で治療が必要というわけなんです。
薄毛が進行するたびに自毛植毛手術を受けるという選択肢もありますが、一般的にはAGAの進行を抑える発毛剤治療が併用されます。
手術費用が高額
自毛植毛の大きなデメリットは手術費用が非常に高いということです。
抜け毛、薄毛の進行度合いによってどれだけ髪の毛を移植するのかという違いは出てきますが、施術費用が100万円を超えてしまうことは珍しくありません。
また、上で説明したように発毛剤治療も続ける必要がありますから、治療にかかるコストが非常に大きくのしかかってきてしまうのです。
HARG療法
HARG治療とは、頭皮に直接「HARGカクテル」という、発毛剤成分と髪の毛の成長因子を配合した専用の薬剤を注入することで、乱れたヘアサイクルを正常に戻すという治療法です。
感覚的には発毛剤治療を注射で行なっているのに近いですが、HARG治療はAGA専用ではなく、女性の薄毛も含む「ヘアサイクルの乱れによって引き起こされる脱毛」を治すという、万能薄毛対策のような位置づけとなっています。
ちなみにHARGとは「Hair Re-generative Therapy」の頭文字をとったもので、これを日本語に訳すと「毛髪再生医療」という意味になります。
HARG療法の効果
HARG療法の効果は大きく分けてふたつあります。
ひとつは「HARGカクテル」というHARG療法で使用する薬液に含まれる「成長因子」が髪の毛を作るのに重要な「毛母細胞」に刺激を与え、発毛を促すというものです。
髪の毛は毛母細胞が細胞分裂することで作られます。つまり、毛母細胞が休んでいると髪の毛はまったく作られないということになります。
そこで成長因子というメッセンジャーを送り込んで「髪の毛を生やしてくださいよ~」と、休んでいる毛母細胞に無理やり髪の毛を作らせてしまおうというわけです。
そしてふたつめの効果は毛を太く育てる育毛効果です。
いくら毛母細胞をはたらかせたところで、栄養が十分でなければ健康な髪の毛は育ちません。
そこで成長因子だけでなく、毛母細胞が活性化するのに必要な栄養素も一緒に送り込もうというわけです。
HARG療法のメリット
HARG治療は「休止期の毛根を成長期に戻す」というアプローチで治療を行います。
発毛剤のように「ホルモンのはたらきを阻害する」といったアプローチではないので、毎日薬剤を使ったり、毎週のように通院するといった短期的な治療が必要ないのです。
クリニックや治療コースにもよりますが、月に1~2回程度の通院が一般的なようです。
HARG療法の注意点
- 効果が出てきている人の割合が少ない
- 治療費が高い
効果が得られた人の割合が少ない
HARG治療は効果が出て来るかどうかに大きく個人差があります。
とある口コミサイトでは6割の人が「効果がなかった。高い金を無駄にしただけ」と酷評している一方で、4割の人は「効果が出てきた。満足している」とHARG治療を支持していました。
口コミとはいえ、6割もの人に効果が見られない治療というのは少々リスクが高すぎるような気がします。
HARG治療と同じく薬を使って治療する発毛剤治療も、全員に効果があるわけではありませんが、発毛剤治療が3年で8割の人に改善効果が見られた(=2割の人に効果がなかった)という実験結果を出しています。
そう考えたとき、HARG治療の成功率はちょっと信用できる数値とは言えないというのが私の意見です。
治療費が高い
HARG治療は時間をかければかけるほどに治療回数が少なくなって、1年あたりの治療費が下がっていくのが売りなのですが、治療を開始した最初の1年だけで見ると130万円近い治療費がかかります。
130万円は自毛植毛の手術費用に並ぶ高さです。
発毛剤治療が1ヶ月あたり2万円の治療費と計算すると、1年で24万円ですから、実に発毛剤治療5年分の治療費が1年で飛んでいくわけです。
しかも治る確率は単純計算で4割ですから、費用に対するリスクはかなり高いと言えるでしょう。
メディカルSMP
メディカルSMPとは、頭皮に髪を描く手術のことです。
簡単に言えば「頭皮に入れる刺青」で、マイクロニードルと呼ばれる極細の針を使って、頭皮に極小の穴を開けて専用のインクをその穴に注入、色素を沈着させます。
すると頭皮に沈着したインクが坊主頭にしているときのような短い髪の毛のように見えるのです。
この「見た目は髪の毛」を入れ墨のような感じで薄毛の気になる部分に1本1本書いていくのがメディカルSMPという手術です。
ちなみにSMPは「Scalp Micro Pigmentation」の頭文字を取ったもので、そのままメディカルSMPを和訳すると「医療的に行われる頭皮の極小な染色」という意味になります。
メディカルSMPの効果
メディカルSMPによる刺青は、まるで本当に髪の毛が生えているかのように見せることができます。
「どうせ実際の髪の毛じゃないから大したことないんでしょ?」と思われるかもしれませんが、薄毛の隙間から見えてしまっている地肌が黒く染まるだけでも受ける印象は大きく変わります。
そもそもなぜ薄毛が目立つのかと言えば、それは本来なら黒い髪の毛で隠されているはずの頭皮が見えてしまっているせいなので、頭皮を黒いインクで隠しても薄毛は目立たなくなるのです。
メディカルSMPのメリット
- 効果に個人差がないので失敗しない
- その場で効果が実感できる
効果が不確定ではないので失敗することがない
メディカルSMPは薬の成分によって薄毛を解消するとか、毛根の環境を正常に戻すというような医学的なアプローチによる脱毛対策ではありません。
発毛剤やレーザー治療であれば「人によっては効果がないかもしれない」というような可能性がありますが、メディカルSMPであれば「今から頭皮にインクを注入するけど、人によってはこのインクが頭皮の中で透明になるかもしれない」といったことはありません。
治療を受けたい場所に必ず髪の毛を描くことができるのです。
メディカルSMPはすぐに効果が実感できる
髪の毛を再び生やすタイプの薄毛対策はどうしても毛が生えてくるまでの短くない期間を待たなければいけません。
しかし、メディカルSMPなら実際に髪の毛が生えてくるのを待つといった必要がありません。
施術を受けた直後に効果が実感できますし、施術自体も2~3時間ほどで終わります。
メディカルSMPの注意点
- 髪の毛は生えてこない
- ヘアスタイルは限られてしまう
- 2年ごとにメンテナンスが必須
- 簡単には消せない
本当に髪の毛が生えてくるわけではない
メディカルSMPは頭皮にインクを沈着させて髪の毛のように見せる施術です。
実際に髪の毛が生えてくるわけではないため、髪の毛を伸ばすことはできません。
ヘアスタイルが限られる場合がある
メディカルSMPは髪を描く手術であるため、ヘアスタイルは自由に決められません。
例えばO型ハゲの人が頭頂部にメディカルSMPを受けた場合、その後ロングヘアのような髪型にしてしまうと髪の毛の伸びてこない頭頂部だけが目立ってしまいます。施術面積が大きければ大きいほど短髪系の髪型に限られてしまうわけです。
また、インクの色と極端に異なるようなヘアカラーもメディカルSMPの施術部分を目立たせてしまいますので、黒いインクを注入すると金髪のようなあまりにも明るい色の毛染めはできなくなります。
他にも、極端な例を上げれば、スキンヘッドにしたいと思ってもメディカルSMPのインク部分だけ目立ってしまうということもあるでしょう。
使用するインクは2年ほどで色褪せるためメンテナンスが必須
メディカルSMPで使用するインクは永久に色合いが維持できるわけではなく、経年劣化によって色が霞んだり落ちたりしてしまいます。そのため約2年ごとの定期的なメンテナンスが必要となります。
メディカルSMPは簡単には消せない
メディカルSMPは水で洗い流したりしてもまったく落ちませんが、これはメリットでもありデメリットでもあります。
たとえばなんらかの理由で「メディカルSMPのインクを消したい」と思っても個人で消すことはできないため、再び皮膚科に行ってインクの除去手術をしなければなりません。
レーザー治療
レーザー治療は、腱鞘炎やリウマチといった病気の治療にも使われる「低周波レーザー」を頭皮に照射して発毛効果を促そうという治療法です。
レーザーと毛という組み合わせは美容サロンで行われているようなレーザー脱毛が有名なため「レーザーを頭に当てても大丈夫なの?」と考える方も多いと思いますが、脱毛やほくろの除去に使うレーザーは「高周波レーザー」と呼ばれるもので、育毛に用いるレーザーとは別物ですので安心してください。
レーザー治療の効果
レーザー治療による効果は3つあります。
まずひとつ、メインとされている効果が頭皮の血行促進です。
レーザーの照射によって頭皮の血管が広がり、血液が育毛に必要な栄養素を運びやすくなるわけです。
ただ、血行とは身体の血管全体の血液の流れが重要となってくるため、頭皮の血行だけを良くしても改善に繋がるかどうかという点は医師によって判断が異なります。
ふたつめが毛穴の殺菌です。
レーザーの熱によって皮脂を分解したり、殺菌することで毛穴を健康な状態に保ちます。
毛穴を綺麗にし、老廃物を抑制することで髪の毛が生えやすい状態を作り出すのです。
そして最後が育毛効果の促進です。
レーザーは頭皮の奥深くまで届くため、毛母細胞に酵素を多く取り込むことができます。
毛母細胞の分裂が髪の毛における成長ですから、毛母細胞の分裂を促すことで育毛効果に期待ができるということになります。
レーザー治療のメリット
低周波レーザーには血行促進や細胞分裂を活性化する効果があり、実際に腱鞘炎や関節リウマチといった症状の治療にも使用されていることからもそれは証明されています。
髪の毛の成長は細胞分裂によるものですし、そのための栄養は血液によって運ばれます。
つまりレーザー治療は髪の毛の成長を促すだけでなく、栄養を運ぶための補給路まで整えてしまう一石二鳥の効果を持っているのです。
レーザー治療の注意点
AGAは遺伝と男性ホルモンの影響によって引き起こされる脱毛症です。
AGAを治療するには原因となっている男性ホルモンの抑制をすることが必要なのですが、レーザー治療ではAGAの原因物質に影響を与えることができません。
要するに、レーザー治療だけしていてもAGAは止まらないのです。
レーザー治療とは別に「AGAを止める治療」が必要になるので注意しましょう。
まとめ
医学的な研究が進んだ現代では、薄毛治療にも様々な種類があります。
いずれの方法にもメリット、デメリットがありますので、自身にあった方法を選んで薄毛を治療していきましょう。