AGA(エージーエー) 髪の毛の雑学
2017.11.11更新
テストステロンが増えるとハゲるって本当?
目次
テストステロンが増えるとハゲるって本当?
「テストステロンが増えるとハゲるかどうか」という質問は一概にYESorNOで答えられないタイプの質問だったりします。
なぜなら、この質問の答えがYESになる人もいるし、NOになる人もいるからです。
これにはハゲを引き起こしている脱毛症のメカニズムが関係しています。
テストステロンの増加はDHT(ジヒドロテストステロン)の増加を招く!
男性を悩ませているハゲの多くは、『AGA(男性型脱毛症)』という脱毛症です。
AGAは『男性ホルモン受容体』という男性ホルモンの受け皿のような物質が『DHT(ジヒドロテストステロン)』という男性ホルモンが結合し、抜け毛を促す「脱毛因子」を作り出してしまうという脱毛症で、いわゆるM字ハゲやてっぺんハゲのような症状を引き起こします。
詳しくは「AGA(エージーエー)とは?男性型脱毛症による薄毛・ハゲの原因と治し方!」で解説しているのでこちらの記事を参考にしてください。
ここで注目して欲しいのは「男性ホルモン受容体とDHTによってAGAが起きている」という点です。
つまり、ハゲの原因は男性ホルモン受容体とDHTということになります。
「あれ?じゃあテストステロンは関係ないじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、実はテストステロンもこの原因に一枚噛んでいます。
DHTの「ジヒドロテストステロン」という名前から察した人もいるかと思いますが、DHTはテストステロンを材料として作られている男性ホルモンなのです。
つまり、テストステロンが増えるとAGAの原因となっているDHTも増えてしまうんですね。
これが「テストステロンの増加がハゲの原因となっている」という説の真相だったのです。
ではなぜすべての人にこの法則が当てはまらないのか。それはもうひとつの原因である『男性ホルモン受容体』にあります。
男性ホルモン受容体の強さが遺伝で決まっている!
先ほどはハゲの原因が「男性ホルモン受容体+DHT」であると説明しました。
しかし、すべての男性が脱毛因子を作り出すほどの強い男性ホルモン受容体を持っているわけではありません。
AGAの原因となるほどの男性ホルモン受容体を持っているかどうかは遺伝によって決まっているのです。
簡単にいうと、実は私たちは生まれた瞬間にハゲる体質かどうかが遺伝でほぼ決まっています。
生まれつきハゲる・ハゲやすい体質の人はテストステロンが増えれば増えるほど薄毛リスクが高くなりますが、生まれつきハゲない・ハゲにくい体質の人にとってはテストステロンの量はあまり薄毛リスクと関係がないのです。
これが最初に言っていた「YESの人もいるし、NOの人もいる」の真実です。
薄毛の原因となっているのは男性ホルモン受容体と男性ホルモンです。
そういう意味ではテストステロンはハゲの原因ですし、増えれば増えるほどハゲやすくなると言えるでしょう。
しかし、ハゲる人とハゲない人の決定的な違いはなにかと言われたら、それは「男性ホルモンの量」ではなく「遺伝」なのです。
ハゲを防ぐために対策すべき物質はどれ?
今までの説明で、ハゲの原因となっているものは、遺伝・男性ホルモン受容体・DHT・テストステロンの4つが出てきています。
原因が多すぎてこんがらがりそうですが、私たちはこの大量の原因のうちのどれを対策すればいいのでしょうか。
実は、現代医学ではそれは明確に決まっています。ハゲを防ぐために対策すべきはDHTです。
まず遺伝と男性ホルモン受容体についてですが、残念ながらこのふたつを対策する方法は今のところありません。
将来的に遺伝子治療などの新しい薄毛治療が開発される可能性はありますが、少なくとも現時点ではできないので、自動的にこのふたつを対策するという選択肢は消えます。
次にテストステロンですが、こちらも対策しない方が良いとされています。
確かにテストステロンの分泌量をゼロに近づければDHTが作られなくなるため、薄毛の進行はピタッと止まります。
実際に、古代中国にいた宦官(去勢した男性)はテストステロンを分泌している睾丸を切り落としたおかげで薄毛の進行が止まったと言われています。
しかし、テストステロンを減らす対策にはひとつ大きな問題があります。
それは、私たち男性が男性らしくあるためにテストステロンが必要不可欠な物質だということです。
テストステロンは体毛を濃くしたり、体つきを男らしくしたり、性欲を強めたりといった男性らしさの維持には絶対に欠かせない物質です。
テストステロンが減れば減るほどこれらの効果が失われていくので、テストステロンを減らす対策は好ましくないんですね。
テストステロンは薄毛の原因である前に、男性に欠かせない物質なので減らすことができない、というわけなのです。
そうなると、残る対策先はDHTのみということになります。
DHTも男性ホルモンではあるのでテストステロンと同じく男性らしさを維持するためには必要な物質です。
そういう意味では減らしてはいけない物質とも言えるのですが、幸いにしてテストステロンさえあればDHTがなくても健康被害が起きにくいのです。
簡単に言えば、健康被害などのデメリットを考えたとき、もっともリスクなくハゲを対策できるのがDHTを減らす対策なのです。
そういうわけで、今の医学ではハゲ対策はDHTを減らす方向で行なっているのです。
DHTを減らすために必要なたったひとつのこと
DHTは体内にある『5α-リダクターゼ』という酵素によって作られています。
なので、5α-リダクターゼのはたらきを抑えることができればDHTが作られなくなり、DHTを受け入れられなくなった男性ホルモン受容体は脱毛因子を作れずハゲなくなるということになります。
しかし、残念なことに今のところ私たちが個人レベルでできることの中に、5α-リダクターゼのはたらきを抑える効果を持ったものはありません。
これは5α-リダクターゼがDHTを作ることは身体としては正常な反応だからです。
栄養バランスの良い食事をとったり、頭皮マッサージをしたり、ヘアケアグッズに気を使うといった「健康になるための対策」は身体が不健康になることを止めることはできても、健康な身体の正常な反応までは止められないのです。
ですが、あきらめる必要はありません。
実は今の日本には5α-リダクターゼへの対抗策が開発されているのです。
『フィナステリド』あるいは『デュタステリド』という名前を聞いたことはあるでしょうか。
商品名としては『プロペシア』や『ザガーロ』という名前で流通している薬です。
これらは5α-リダクターゼのはたらきを阻害し、DHTを作らせないようにする効果がある医学的な薬です。
いくら5α-リダクターゼがDHTを作ることが正常な反応でも、それを阻害する薬を使えばDHTを作らせないことができます。
いくら遺伝的に男性ホルモン受容体が活発でもDHTがなければ脱毛因子は作れませんから、これらの薬を使った医学的治療によってAGAの進行を止めることができるのです。
ちなみにこれらの薬は通販や薬局では一般販売されていません。
手に入れたい場合は薄毛治療を行なっている病院にいく必要があります。
もしハゲを治したいと考えているのであれば、是非とも薄毛治療のクリニックに行きましょう。
ハゲの原因はテストステロンだが、対策すべきはDHT(ジヒドロテストステロン)
ハゲてしまう人にとって、テストステロンがハゲの一因となっていることは間違いありません。
しかし、テストステロンだけが原因でハゲているのかと言えばそれは違います。
ハゲてしまうメカニズムにテストステロンが関わっていることは事実ですが、対策すべきはテストステロンではなくDHTなのです。
残念ながら、今のところは個人的にできるDHT対策はありませんが、DHTを作っている5α-リダクターゼという酵素を抑える薬を薄毛治療をしている病院で処方してもらうことができます。