AGA(エージーエー) 髪の毛の基礎知識
2017.11.16更新
AGAの原因と治療・対策方法
目次
AGAを引き起こす2つの原因
多くの男性を悩ませているM字ハゲやてっぺんハゲのような薄毛は『AGA(男性型脱毛症)』という脱毛症です。
AGAは『男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)』という物質が『DHT(ジヒドロテストステロン)』という男性ホルモンを材料として『脱毛因子』を作り出すことが原因で起こっています。
つまり、AGAが起こるのは抜け毛を引き起こしてしまう脱毛因子が原因で、さらにその原因を作り出しているのが男性ホルモン受容体とDHTなのです。
では、このふたつの物質についてもう少し詳しく見ていきましょう。
原因1:男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)
男性ホルモン受容体はDHTと結びつくことで脱毛因子を作り出す物質です。
簡単に言えば脱毛因子の工場であり、この工場が稼働している限り、私たちの薄毛は止まることはありません。
ですが、実はこの男性ホルモン受容体はすべての男の人が持っているんですよね。
じゃあなんですべての男性がAGAになるわけじゃないのかというと、脱毛因子を作りやすいか作りにくいかに個人差があるからなんです。
ちょっと変な言い方になってしまいますが、脱毛因子を作る才能を持っている人と持っていない人がいるわけです。
そして、男性ホルモン受容体が脱毛因子を作りやすいかどうかは遺伝によって決まっています。
男性ホルモン受容体が脱毛因子の作りやすくなる遺伝子があって、それを遺伝して生まれてくるとAGAになりやすい体質となってしまうんです。
原因2:DHT(ジヒドロテストステロン)
DHTは『5αリダクターゼ』という酵素が『テストステロン』という男性ホルモンを材料にして作り出している男性ホルモンです。
ちょっと複雑ですが、「男性ホルモン受容体+DHT=脱毛因子」という方程式があって、さらに「5α-リダクターゼ+テストステロン=DHT」という式もあるということですね。
DHTもすべての男性が分泌している物質で、単なる男性ホルモンなのでこれといって悪事を働く能力はありません。
ただ、AGAになった人だけは男性ホルモン受容体が脱毛因子の材料としているという点から、男性ホルモン受容体の共犯者とも言える存在となっています。
そういった理由からDHTは「悪玉男性ホルモン」などと呼ばれることもあるようです。
AGAは自然治癒しない!?
上記のように、AGAの原因は「遺伝子」や「男性ホルモン」など人体の仕組みに組み込まれたものとなっています。
言い換えれば、AGAは健康そのものでも発生する脱毛症と言えるわけです。
どれだけ健康でも起こってしまうわけですから、AGAが自然治癒することはありません。
薄毛になったときに「自分の行動の何が悪かったのだろう」と反省する人は多いですが、AGAによる薄毛は私たちの行動が原因なわけではないのです。
AGA対策はDHT対策!
AGAの原因は抜け毛を引き起こす脱毛因子ですが、その原因を追うとそこには男性ホルモン受容体とDHTがあり、さらにその原因には遺伝子とテストステロン、5αリダクターゼがあります。
これらすべてがAGAがにとって必要なものであり、逆に言えばどれかひとつでも対策できればAGAは起こらないということになります。
それではいったいどれを対策すればいいのでしょうか。
結論から言えば、5α-リダクターゼを阻害しDHTを作らせない対策を行うべきです。
まず男性ホルモン受容体を止める成分は今のところ開発されておらず、生まれ持った遺伝子を書き換えることも今の医学ではできないため、男性ホルモン受容体を対策する方向は無理ということになります。
ということはDHTを対策するのが唯一のAGA対策ということになるわけですが、DHTの材料となっているテストステロンは男性には必要不可欠な男性ホルモンなので減ると健康被害が起こってしまいます。
一方で5α-リダクターゼであれば、活動が止まっても人体にそれほど大きな影響は出ません。
さすがに人体の仕組みを阻害しているので「まったく影響はない」とまでは言い切れませんが、テストステロンをなくしてしまうことに比べたら圧倒的に安全です。
よって、5α-リダクターゼを阻害してDHTを作らせないというのが人体にもっとも配慮したAGA対策ということになるのです。
では、5α-リダクターゼを阻害するDHTとしてはどういった対策をしていけばいいのでしょうか。
実は、私たちにできることはそれほど多くないのです。
DHTを対策できるのは医学的な薬だけ!
5α-リダクターゼの活動を阻害する方法は今のところ投薬治療しかありません。
しかも、現在の日本に5α-リダクターゼを阻害してDHTを作らせない成分はたったのふたつしかないのです。
その成分の名前は『フィナステリド』と『デュタステリド』と言います。
成分名よりは「プロペシア」や「ザガーロ」といった薬品名のほうが有名かもしれません。
これらは薄毛治療をしているクリニックでしか処方されないため、普通に薬局に行っても買えません。
AGAの根本的な原因を対策したい場合はクリニックでの治療を受けましょう。
自分だけでAGA対策したいんだけど……
病院に行きたくない、薬を飲みたくないという人は多くいます。
できることなら自宅で個人的に対策をするだけでDHTを抑制したいと考えるのも無理はないことです。
しかし、残念ながらDHTを対策することは個人レベルではできません。
そもそも5α-リダクターゼの阻害は人体の正常な反応を薬で無理やり押しとどめているにすぎないわけで、いわば人体を異常にしているのと同じなんですよ。
それは頭皮マッサージやシャンプー、育毛剤などで行う頭皮や身体の健康のために行う対策とは真逆に位置しているんです。
ただ、個人的な対策にまったく意味がなくやるだけ無駄というわけでもありません。
単に根本的な対策ができないだけであって、AGA治療を効果的にするための対策はあります。
AGA対策はクリニックでの治療が前提だと知った上で、次のような対策を心がけましょう。
AGA治療のために行なうべき3つの対策
AGA治療を円滑に行うための対策として、
- 健康的な食生活
- 十分な睡眠時間
- ストレスの発散
の3点が重要となってきます。
それぞれどういった効果があるのか見て見ましょう。
健康的な食生活を送る
髪の毛は十分な栄養がなければ健康に成長することができません。
どれだけDHTを抑制したところで髪の毛が健康に生えてくるための土壌が整っていなければ意味がないのです。
なので、AGAの影響を受けなくなった髪の毛がしっかりと成長するためにも日常的に食事で十分な栄養を確保しておきましょう。
具体的に取るべき栄養素などは「髪に良い食材でハゲを防止する!?ハゲ・薄毛予防に効く食生活で育毛しよう!」で解説しています。
十分な睡眠時間を取る
髪の毛を成長させるための成長ホルモンは私たちが夜に眠っているときがもっとも分泌されやすいとされています。
これは成長ホルモンの分泌を司っている「副交感神経」という神経が夜間の休息中に活発化するという特徴を持っているためです。
単に夜なだけでもダメで、単に寝ているだけでもダメで、夜に眠っているという条件を同時に満たしたときに成長ホルモンが分泌されやすくなります。
なので、夜更かしや昼夜逆転などで夜の睡眠時間が減るとそれだけ成長ホルモンが減ってしまうのです。
研究によれば、人間の必要としている睡眠時間は最低でも7時間半との結果が出ています。
髪の毛の成長を邪魔しないためにも、毎日夜の7時間半の睡眠を心がけるようにしましょう。
睡眠と髪の毛の詳しい関係については「寝ないと髪は育たない!自律神経がもたらす眠りと抜け毛の関係と、育毛のための睡眠方法を徹底解説」を参考にしてください。
ストレスを溜め込まず定期的に発散する
成長ホルモンを司っている神経は、強いストレスを長期間受け続けたときにも成長ホルモンを出しにくくなってしまいます。
ストレスを感じることそのものは問題がないのですが、ストレスをずっと溜め込んでいると身体に大きな影響が出てきてしまうのです。
ストレスのためすぎは髪の毛だけでなく精神的・身体的にも不健康になってしまう要因ですから、定期的に発散することが大切です。
AGAは医学+生活習慣の改善で対策しよう
AGAの原因は遺伝と男性ホルモンが関わっているため、個人レベルでの対策だけで治すことはほぼ不可能です。
根本的な治療には薬が必要なので、まずは薄毛治療を行っている病院での治療を基本として考えてください。
ただ、個人レベルでできることがまったくないわけではありません。
生活習慣の改善はAGA治療を効果的にする上で重要なので、セルフでの対策と病院での対策を組み合わせて、できるだけ早くAGAが治るようにしましょう。