発毛剤
2017.08.24更新
デュタステリド配合のAGA治療薬「デュプロスト」の効果、副作用、服用期間、入手方法について徹底解説
このページではAGA治療薬「デュプロスト」について解説します。
目次
デュプロストとは?
デュプロストは2015年にAGA治療薬として認可された新しい成分「デュタステリド」を用いたAGA治療薬です。
もともとは「前立腺肥大症」という病気の薬だったのですが、AGA治療にも効果があるということでAGA治療薬として認可され、2015年からは日本でも販売されるようになりました。
作用機序(効果のメカニズム)がプロペシア(フィナステリド)とほぼ同じなため、プロペシアとデュプロストのどちらかを選択して使用する場合が多いです。
デュプロストの飲み方
1日1カプセルを食前食後問わず、24時間周期で飲んでください。
デュプロストの効果
AGAの原因のひとつとなっているのが「DHT」という男性ホルモンです。
デュプロストはそのDHTを作り出している「5α-リダクターゼ」という酵素のはたらきを阻害してDHTを作らせないようにする効果があります。
つまり、DHTを作らせないことでAGAによる抜け毛を防ぐ薬というわけですね。
プロペシアとの効果の違い
デュプロストと同じくDHTの生成を阻害してAGAを治療する薬にプロペシアがあります。
デュプロストとプロペシアの違いは「阻害できる5α-リダクターゼの数」です。
実は5α-リダクターゼにはI型と呼ばれるものとII型と呼ばれるものの2種類があり、フィナステリドはこのふたつのうちのII型しか阻害することができません。
一方でデュプロストはI型とII型のふたつを阻害することができます。
要するに、デュプロストのほうがフィナステリドよりも効果が強いのです。
デュプロストはプランB
と言っても、ほとんどのAGAはII型の5α-リダクターゼさえ阻害できればそれで十分にAGAが治療できていることが多く、I型がAGAに関わっている人は稀です。
そのため、まずはプロペシアを処方して、プロペシアが効かなかった場合のプランBとしてデュプロストが用いられることが多いです。
デュプロストの副作用
デュプロストはプロペシアよりも効果が強い分、副作用もプロペシアより強めに出てしまいます。
最初の1~2ヶ月は初期脱毛で毛が抜ける
デュプロストを飲み始めると最初の1~2ヶ月あたりは大量に抜け毛が発生します。
これは初期脱毛といってもっと後に抜けるはずだった毛が前倒しで一気に抜けてしまう現象です。
本来は成長が止まった毛は毛穴に残ったまま抜け落ちるのを待っています。
しかし、デュプロストを使うと新しい毛が作り出されるまでの時間が早まるため、新しく作られた毛が古い毛を押し出してしまいます。
そのため、本来はもっと時間をかけて抜けるはずだった毛が一気に抜け落ちてしまうのです。
初期脱毛は副作用と言えば副作用ですが、薬の効果が現れてきた証拠でもあります。
不健康になるわけでもありませんし、必ず収まるものなので気にする必要はありません。
初期脱毛については「初期脱毛が起こる原因とその期間」で解説していますので、より詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
性機能低下
デュプロストは男性ホルモンの生成を抑えるため、性欲減衰や勃起障害といった性機能の低下が副作用として起こりやすいです。
デュプロストと同じくデュタステリドを使った薬品『ザガーロ』の国内の試験では120人中20人に副作用が発生し、そのうち13人に勃起不全が確認されました。
国内の試験では 国内長期投与試験において、本剤が投与された総症例120例中20例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、勃起不全13例(10.8%)、リビドー減退10例(8.3%)、射精障害5例(4.2%)であった(承認時)。
10%は一見すると少ない数値に見えますが、薬の世界での副作用発現率10%は高い方なので、デュタステリドは副作用が起きやすい薬だと言えます。
乳房の異常
ごく稀(1%未満)に起こる副作用として乳房の痛みや違和感が確認されています。
また、更に稀ですが乳房が女性化する(膨らむ)という副作用もあるようです。
生殖系及び乳房障害
1%未満
乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)
肝機能障害
頻度不明(確認はされていないが報告はある)の副作用として肝機能障害があります。
肝臓に異常が出てくるのはデュプロストの分解を肝臓で行っているためだと考えられます。
そのため、もともと肝臓の機能に障害を抱えている人はデュプロストを使わないことが推奨されます。
発ガン性についてはほぼ心配する必要はない!
一部では「デュプロストに発ガン性が!」と取り沙汰されていますが、実際には発ガン性に怯える必要はないというのが私の意見です。
デュプロストに発がん性があると言われるようになったのは、海外で行われた4325人の患者に対して2〜4年間デュタステリドを投与する試験で乳がんの患者が3人報告された(3人中偽薬のみ服用の人物が1名)ことが原因だと思われます。
しかし、これは計算するとがんの発現率が約0.007%となり、デュプロストをがんの原因と結びつけるには少しばかり小さすぎる数字であるように思えます。
またこれらの試験は海外で行われたものであり、国内試験での乳がんの報告がないことから発ガン性について過度に心配する必要はないと言えるでしょう。
プロペシアとの副作用の違い
プロペシアには見られなかった乳房の異常が見られるのがデュプロストとプロペシアの大きな違いです。
また、全体的に副作用の発現率がデュプロストのほうが高く、性機能低下の副作用発現率はプロペシア(4.0%)の4倍以上になっています。
デュプロストの方が効果が高い分、副作用も強くなってしまっているわけです。
デュプロストの注意点
デュプロストには以下の禁忌があります。
(下記の引用はデュプロストのコピー元である『ザガーロ』のものです)
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分及び他の5α還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
女性[「重要な基本的注意」及び「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
3.
小児等[「重要な基本的注意」及び「小児等への投与」の項参照]
4.
重度の肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇するおそれがある(「慎重投与」の項参照)。]
アレルギーの出る患者に使ってはいけない
ごく稀にですが、デュプロストでアレルギーを起こしてしまう人がいます。
そういった体質の人はデュプロストを使うことができません。
また、プロペシアなどのフィナステリド錠剤でアレルギーを起こしてしまう人はデュプロストでもアレルギーを起こしてしまう可能性が極めて高いため、フィナステリドでアレルギーを起こしたことがある人もデュプロストを使えません。
女性・子供にはNG
妊娠・出産した女性がデュプロストを飲んだ場合、胎児への悪影響が考えられるため女性の服用は絶対にNGです。
また、デュプロストは皮膚からも吸収される成分なので、触ることすら厳禁です。
子供に対しては安全性と薬の有効性が実証されていないためNGとなっています。
肝臓に障害を抱えている人の服用はNG
デュプロストは肝臓で分解されるため、肝臓に障害を抱えている人が飲むと肝機能障害が悪化する危険性があります。
もともと肝臓の機能が弱い人はデュプロストを飲まないようにしましょう。
デュプロストの入手方法は海外からの個人輸入のみ!
デュプロストを手に入れる方法は「海外から通販して個人的に輸入する」方法しかありません。
これはデュプロストが海外で作られたジェネリック医薬品であり、日本では認可されていない薬だからです。
価格は100錠で約5000円なので、1ヶ月あたりおよそ1700円ほどということになります。クリニックで処方されるものよりも圧倒的に安いため、コストパフォーマンス重視の人は個人輸入でデュプロストを購入することが多いようです。
ただし、個人輸入にも大きな欠点があります。どんなに重い副作用が出たとしても国が保証してくれず、相談する医師もいないのです。安心・安全面での不安が大きい点には注意が必要ですね。
特にデュプロストはプロペシアと違って副作用の発現率が高いため、国の保険が効かないというデメリットは大きくのしかかってきます。
個人輸入については「個人輸入を徹底解説」で詳しい解説をしているのでこちらの記事を参考にしてください。
AGA患者はデュプロストとどう付き合っていくべきか
デュプロストは副作用の発症率や症状の内容から言っても「少なくとも好んで使うべき薬ではない」というのが私の意見です。
デュプロストが厚生労働省に承認されてからしばらく経つ今でもプロペシア+ミノキシジルの組み合わせが薄毛治療のメジャーな方法として扱われているのもひとえに副作用というデメリットが大きすぎるからだと考えられます。
ただ、世の中にはプロペシアが効かない人というのも結構な人数がおり、そういった人たちは作用機序がプロペシアと同じであるデュプロストを使わざるを得ないというのも現実です。
そういった点からも総合的な判断をすると、
「まずはプロペシア(フィナステリド)で治療を開始して、効果がない場合はお医者さんの指示に従って副作用に気をつけながらデュプロストを使う」
というのがもっともよいデュプロストとの付き合い方となるでしょう。
また治療中の判断は自己判断ではなくお医者さんの判断が重要となりますので、デュプロストの使用を検討しているのであれば薄毛治療を専門に行なっているAGAクリニックを受診すべきです。
まとめ
デュプロストはAGA専用の治療薬です。
その特性から女性や子供、円形脱毛症など別の症状の患者に使うことはできませんが、AGAの原因を抑える効果を持っているため、AGAの進行を抑えることには大きな効果を発揮します。
ただし副作用の強さと、プロペシアでAGAの治療が十分であるという点からいきなりデュプロストで治療することは推奨されません。
まずはプロペシアから始めて、それでも効果がない場合はデュプロストを使用するといった方法がおすすめです。